昨日のブログは、

腎臓がいろいろなホルモンを

作っているということで

エリスロポエチンとビタミンDの

ことを書いたのでした


『いろいろなホルモンも作っています ~ 腎臓って、意外にスゴい(6)』





今回は、

腎臓の話でもちょっと難しめな

ホメオスタシス

特に、酸塩基平衡について書いてみます




私たちの体の中の状態は

かなり狭い範囲で一定になるように

調節されています



これを、ホメオスタシスと言います



Na イオンや K イオンも

狭い範囲でコントロールされています



Na イオンの血漿中濃度は

135 ~ 145 mEq/L


それより高いと、高 Na 血症

低いと、低 Na 血症となります



高 Na 血症では

血液の浸透圧が高くなり(濃くなり)

細胞内の水分を細胞外に出して

細胞内脱水となり

細胞が機能しなくなります



水分を補給して

Na イオン濃度を下げるようにします




一方、K イオンは

ほとんど細胞内にありますが、

それでも

血漿中濃度は 3.5 ~ 4.5 mEq/L

でコントロールされています



高 K 血症は危険で

心筋細胞の活動に影響し

致死性の不整脈に至ることがあります



細胞の内と外とでは

電位や電解質の濃度が違っていて

細胞外は電位が正で、Na イオンが多く

細胞内は電位が負で、K イオンが多い



神経細胞や筋細胞は

細胞外の Na イオンが細胞内に入って

その直後に K イオンが外に出ることで

正常な活動が維持できます



K イオンが外に出るのは

細胞外に K イオンが少ないという

濃度差があるからで、

高 K 血症では

血液中の K イオンが多く

K イオンが外に出ません



そのため、

細胞内の電位が負に戻らず

神経細胞や筋細胞が

活動できなくなってしまいます



地震で下敷きになるなど

手足が圧迫された状態が続くと

細胞が壊死して細胞内の

K イオンが血液に流れ込んで

高 K 血症になりやすいです


これを、挫滅症候群と言います




また、

KCl(塩化カリウム)を注射して

死亡に至るのは、

血中 K イオン濃度を

直接高めていることに他なりません




また、

酸性アルカリ性もきっちり

コントロールされています


これを酸塩基平衡と言います



アルカリ性のことを塩基性とも言います



血漿(血液の液体成分)の pH は

7.4 前後



pH の変域は、0 から 14 として

扱われることが多く、

中性が7で、小さいほど酸性

大きいほど塩基性(アルカリ性)



pH は水素イオンが多いほど

酸性になると考えてください



二酸化炭素は水に溶けると

一定の割合で

水素イオンと重炭酸イオンが出来て

平衡状態になります



ここで、

高校の化学を思い出してみましょう



物質の反応で

A と B が反応して、C ができるときの

化学反応式は


$プラスサイエンス ~ 科学が気になるアナタのために-反応式



反応式の矢印が両方に向いていますね



化学反応がどんどん進むと

反応前の物質が全てなくなる前の

あるところで止まり

反対向きの反応とつり合います



これを化学平衡と言います




このとき、

平衡定数というのが定義できまして



$プラスサイエンス ~ 科学が気になるアナタのために-平衡定数




分子が反応式の左側

分母が反応式の右側



これが一定になるようになっています



ですから、例えば、上記の反応式で

物質 A が少なくなると

平衡定数を元に戻すため

(平衡定数の分子を大きくするため)

反応式は左に進んで

A を増やし、ついでに B も増えます



同様に、物質 C が少なくなると

反応式は右に進み、C を増やします



このようにずれが元に戻されるのを

ルシャトリエの原理と言います




長くなりましたので

また、明日


明日こそ、腎臓の最終回!


のはず。。





(つづく)





文:生塩研一





お読みいただきまして、ありがとうございました。
コメントもお待ちしています。お気軽にどうぞ~!


応援してくださる方は、下のバナーをクリックビックリマーク
ランキングサイトが開いたらOK! 


自然科学 ブログランキングへ

にほんブログ村 科学ブログ 自然科学へ
にほんブログ村


Facebook の「いいね!」も嬉しいです!


Twitterもやってます




読者登録してね