昨日のブログでは
音が聞こえる仕組み を書きました
『音が聞こえる仕組み』
昨日お約束した動画は
2歳から聴力を失った女性が
この人工内耳の手術をして
初めて、夫の声を聞いた瞬間の映像です
【感動映像】2歳で聴力を失った女性が人工耳により「夫の声を聞いた」瞬間映像
ROCKET NEWS 24
感動的ですよね。。
その動画に出てくるのが
「人工内耳」
一体、どうやって実現しているのでしょう?
ちょっと、その前に、、
音を聞く仕組みについて
もう少しだけ、、、
音は、空気の振動で
それを鼓膜で受けて
耳小骨を伝って蝸牛で
共振現象を使って分析する
そして、
特定の高さの音を
蝸牛の中の特定の位置で感知する
ということでした
これ、音が単一周波数の純音ですと
話は簡単なのですが、
普段、耳にする音はいくつもの
種類の周波数の音が重なり合っています
いわゆる、音色ですね
同じ高さの音でも
ピアノとヴァイオリンでは
音が違うように
音色は音声波形を見ると分かります
例えば、ヒトの声はこんな感じ↓

左の列、上から順に
ア イ ウ エ オ
の波形を示しています
それぞれの母音で
繰り返されている波形が
その母音の音色であり特徴です
同じ波形が
どれくらい速く繰り返されるか
が声の高さになります
これを 基本周波数(F0)といいます
音色の分析は
その波形がどんな種類の周波数が
どれくらい強いのか を調べます
こういう分析を フーリエ変換といいます
声の波形をフーリエ変換すると
それぞれの母音で強い周波数が
いくつかあることが分かります
この強い周波数(音の高さ)を
周波数の低い順に
第1フォルマント(F1)
第2フォルマント(F2)
:
というように呼びます
さて、お待ちかねの動画ですが
動画の女性は人工内耳の手術を
受けておられるので、
有毛細胞が音を感じなくなったのだと
思われます
有毛細胞はダメでも
蝸牛神経が大丈夫なら
蝸牛神経を刺激してやれば
音は聞こえることになります
機械で、声や音の基本周波数や
フォルマントの分析をして
蝸牛の中の適切な位置を
電気刺激してやればよいのです
これをするのが 人工内耳 です

日本バイオニクスさんのサイト より
蝸牛の中に電極を配置した
細長いチューブを入れます
チューブには20カ所くらい
電極が付けられていて
入口の高音から、奥の低音まで
電気刺激できるようになっています
外のマイクで拾った音を分析して
各周波数の強度を計算して
それに対応した蝸牛の位置を
電気刺激するわけです
最初にご紹介した動画は
人工内耳により聴力が回復して
初めて夫の声を聞いた瞬間の映像でした
以下は、補足です
長時間にわたって大音量で聞くと
音響外傷といって
内耳に悪影響が出ることがあります
内耳は
蝸牛(音の処理)
前庭・半規管(平衡感覚や頭の動き)
からなりますが、
もっとも繊細なのは蝸牛の有毛細胞
有毛細胞は音を感じる最も大事な細胞
ですが、基本的に再生しないので
ダメージを受けると一生治らない
ということにもなりかねません
また、大音量により
蝸牛の近くにある前庭や半規管が
ダメージを受けて、めまいを感じる
ようになることもあります
割と最近(2013年1月)、
慶応大学とハーバード大学の共同研究で
外有毛細胞の再生に成功していますので
今後は治癒の可能性は高いですが
繊細な細胞ですので大事にしましょう
(おしまい)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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