今日の夕陽はとても幻想的で

しばらく見入ってしまいました



夕陽は見ている間に

変化していくのもいいです



そして、消えていく



美しさと儚さがいいのかも



皆さんはいかがですか?





さて、



昨日予告しましたように

教育での「3つの R 」に

もう一つ R が加わるかもしれない

という、脳科学の実験を紹介しますね



4番目の R とは、何でしょうか??




5月にイギリスの科学雑誌 Nature に

「電気ショックで数学の能力アップ」

と題した News が掲載されました



Callaway E (2013)
Shocks to the brain improve mathematical abilities
Nature News doi:10.1038/nature.2013.13012.






その記事では、

これまで言われてきた、

学校の教育プログラムで身につける

3つのR

 Reading(読み)

 Writing(書き)

 Arithmetic(計算、そろばん)

に、4つ目のRとして

Random electrical stimulation
(ランダム電気刺激)

が加えられるかも、としています



その論文とは、

計算課題や記憶課題をしている間に

頭皮上から電気刺激を加えると

計算課題が速くできるようになり

その効果は半年後も持続していた

というもの



Snowball A, et al. (2013)
Long-Term Enhancement of Brain Function and Cognition Using Cognitive Training and Brain Stimulation
Current Biology 23(11): 987-992.





計算課題では

5 § 18 =

のように

数、記号、数の配列で表示されて、


(右の数 - 左の数)+ 1 + 右の数

もしくは

(右の数 + 左の数)- 10 + 左の数


を計算してもらいます



間違っていたら、もう一度計算して

正解したら次の問題に移る



記憶課題では、

4 # 12 = 17

のように

数、記号、数 = 答え

と表示されて、答えを記憶して

次に、答えが消された状態で表示され

記憶した数を答えるというもの




それぞれの課題を進めている間に

計算に関わっているとされる、

頭部のこめかみの辺りの

背外側前頭前野 DLPFC に
DorsoLateral PreFrontal Cortex

接触面 5cm x 5cm の電極を通して

5日連続で1日20分間

100-600Hzのランダムノイズで

電気刺激を受けます



ランダムノイズ電気刺激の参考論文

Terney D, et al. (2008)
Increasing Human Brain Excitability by Transcranial HighFrequency Random Noise Stimulation
Journal of Neuroscience 28(52): 14147-14155






$プラスサイエンス-電気刺激

実験で使用された装置
DC-Stimulator-Plus device





被験者は、男性6名、女性7名

平均年齢21歳の大学生



効果を検証するための対照群は

同じ場所を、1日30秒

男性6名、女性6名

同じく、平均年齢21歳の大学生




実験の結果、

計算課題では

電気刺激をした方が

ミスも少なく

かかった時間も短かったとのこと



一方、

記憶課題では

電気刺激をすると

ミスは少なかったのですが

かかった時間にあまり差はなし



さらに、そのときの脳活動を

NIRS(近赤外分光法)で調べたところ


電気刺激をした方が

早いタイミングで脳の活動が

高まっていたことがわかりました



さらに、

半年後に同じ実験をしたところ

計算課題では、電気刺激を

受けていた被験者は

早く計算もできて、脳活動も

早く立ち上がっていたとのこと



どうして

ランダムノイズ電気刺激を与えると

どうして計算が速くなるのか

という理由ですが

Naイオンチャネルがパカパカ開いて

ニューロンが興奮しやすくなった

からではないか、とのこと



Naイオンチャネルについては

拙ブログをご参照ください

脳の電気信号?その正体は。。。(2)





そのうち

算数のテストが悪いと

居残りで電気刺激を受ける時代に

なるかもしれませんね



ちなみに、この電気刺激、

全く痛くないそうです

ご安心を。。





しかし、

便利なようにも見えますが、

脳の内的な状態を無視して

タイミングを選ばず

外から強制的に脳を活性化させると、

偶然浮かんだ、

覚えたくもないことまで

脳に定着してしまいそうです



出来るだけ外的なものに頼らず

自分の脳を信じて

脳自身の学習能力に

任せたいものです



(おしまい)




文:生塩研一



お読みいただきまして、ありがとうございました。
コメントもお待ちしています。お気軽にどうぞ~!


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