しかし、暑いですね。。
昼間に外を歩くとめまいがしそうです
まっすぐ歩けるのは平衡感覚のお陰
平衡感覚は、耳の奥に
砂の乗ったゼリーがあって
それで頭の傾きが分かるのでしたね
音を感じる蝸牛という器官の手前に
前庭という器官があって、
そこの卵形囊と球形嚢に
砂の乗ったゼリーがあります
参考:拙ブログ
頭を動かされたのを感じる仕組み(2)
ところで、
魚は音をどうやって聞くのでしょうか?
魚には、
ヒトなどが音を感じる蝸牛は
ありません
まず、
魚の体表面には、
エラから尾びれに向かって点状の筋
が走っていて、側線といいます
この側線器官が
水の圧力変化や水の流れを感じるので
音も感じるらしいです
それから、
ヒトなどに見られる前庭もあり
ちゃんと、球形嚢と卵形囊もあって
聴覚と平衡覚の両方を感じるようです
違いとしては、
ヒトなどの平衡斑では
有毛細胞は平衡砂漠という
ゼラチン質で覆われていて
その上に多数の平衡砂が
パラパラと乗っていますが、
魚では、有毛細胞の毛の上に
直接、大きな耳石が乗っています
ただ、卵形囊と球形嚢の具体的な
役割はよく分かっていませんでした
最近、
それを調べた研究が報告されました
名古屋大学理学研究科の成果です
Inoue M, et al. (2013)
"The role of ear stone size in hair cell acoustic sensory transduction"
Scientific Reports 3: 2114.
名古屋大学のプレスリリース
実験には、
ゼブラフィッシュが使われています

ゼブラフィッシュは
飼いやすく、成長が早く、低コスト
体長が2mm程度で場所を取らない
体が透明で観察しやすい
などなど利点があって
モデル動物としてよく使われます
ゼブラフィッシュの
卵形囊には、小さい耳石が
球形嚢には、大きい耳石が
乗っているようです
卵形囊と球形嚢の
それぞれの耳石を外したりして
音を聞かせながら
有毛細胞の反応を調べると、
大きい耳石が乗った球形嚢だけ
音に反応することがわかりました
次に、
球形嚢の大きい耳石を外して
卵形囊の小さい耳石にくっつけると
音に反応するようになりました
もともと音を感じていた球形嚢に
耳石はないわけですから、
小さい耳石では音に
反応しなかった卵形囊が
乗せる耳石を大きくしただけで
音に反応するようになった
ということです
つまり、
同じ感覚器官でも
耳石の大きさによって
感じる感覚が変わることが
わかったのです
この実験の成功の裏には
耳石のマイクロマミピュレーション法
の確立があります
この技術なしでは、
耳石を移動させたりすることは
できませんでした
実は、研究では、
こういうところが肝心で
研究者も多大な時間をかけて
苦労しているはずですが、
論文にはサラッとしか
書かれていないことが多いです
文字では表現しにくいテクニック
であることが多いのと、
あとは、詳しく書きたくない
という戦略もあったりします
(おしまい)
文:生塩研一
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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