後ろ向きに抱っこされた乳児さんと

コミュニケーションをとるのが

おもしろいです



抱っこしている親御さんたちは

前に向いているので

後ろ向きの乳児さんが

何を見ているのかはわかりません



そこで、まず、

その乳児さんと目をしっかり合わせて

アピールします



乳児さんは少しして目を背けますが

すぐにまたこちらを見ます



そこで、私が顔をいろいろ変えて

乳児さんが飽きさせないようにします



周りの目もあって恥ずかしいですし、

そもそも、

与えられた時間は

それほど長くないので難しいです



例えば、

エレベータ、エスカレータ、電車の中



時間が結構長くてチャンスなのは

スーパーなどのレジ待ち



ときどき、

ニコッと笑ってくれる乳児さんもいて

こちらも嬉しくなります




さて、



今回は、

「不気味の谷」つながりで

同じ研究グループの最新の論文を

簡単に紹介します



Matsuda et al. (2013)
Shyness in Early Infancy: Approach-Avoidance Conflicts in Temperament and Hypersensitivity to Eyes during Initial Gazes to Faces
PLoS ONE 8(6): e65476.


Open Access



京大のプレスリリース
赤ちゃんの「人見知り」行動~単なる怖がりではなく「近づきたいけど怖い」心の葛藤




赤ちゃんの「人見知り」は

他人を怖がるだけの

単純なものではないようです



実験では、まず、

赤ちゃん57名の気質調査を

母親に対するアンケートで行っています



調べたのは「人見知り」と、

相手への「接近」と「恐がり」



「人見知り」の調査は

Colorado Childhood Temperament Inventory(CCTI)


「接近」と「怖がり」との調査は

Infant Behavior Questionnaire Revised(IBQ-R)

を使っています。



「人見知り」の調査から、

まず、人見知りが現れるのは

思ったより個人差が大きく

一般に言われる、生後8ヶ月から

ではなかった、とのこと



「人見知り」の程度と

「恐がり」の程度の間の関係をみると、


人見知りが強いほど

「恐がり」も強く、


また、「人見知り」の程度と

「接近」の程度の間の関係をみると、


人見知りが弱い子と強い子の両極端で

「接近」も強くなる、V字型の傾向

を示すことが分かりました



学童期の子どもでは、

「人見知りとは
 接近と回避の葛藤状態である」

と報告されていますが、


赤ちゃんの人見知りでも

葛藤状態にあることが示唆されます



また、

お母さんと他人のモーフィング合成では

人見知りが強い赤ちゃんほど

不気味の谷が深かったとのこと

拙ブログ参照
「中途半端に似ているのは嫌なのかも(2)」





それから、

人見知りの強弱で視線の違いを

調べたところ

人見知りが強い赤ちゃんは

目を見る時間が長いことがわかりました



データを見る限り

実は、目よりも、

鼻や口を見る時間の方が長い

のがおもしろいです

これは、人見知りの強弱で変わらず



口は何となく分かりますが、

鼻は動かないのに、どうしてでしょうね




最後に、

こちらを正視している顔と

正視していない顔を見たとき

人見知りの強弱で見る時間に

差があるかを調べて、


$プラスサイエンス-正視よそ見

プレスリリースより




人見知りをする赤ちゃんは

正視している顔はあまり長く見ず

よそ見している顔を長く見る傾向を

見出しています





赤ちゃんの人見知りの裏には


怖いけど興味があるという葛藤や、


相手に見られると目を背けてしまうが

そうでないときは

相手をよく観察しようとしている


ということがあるのですね



赤ちゃんの心も複雑ですね。。



(おしまい)


文:生塩研一



お読みいただきまして、ありがとうございました。
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