昨夜よく行く西友の食品売り場レジで、カメラをいつも首からぶら下げている僕に向かって「カメラマンですか?」と尋ねてきた。
「趣味です」
と、答えた。この店員は毎夜現れる僕の正体を知りたがっていたのか?あはは、ごめんね、「プロのカメラマンで今取材の帰り」、なんて期待通りの返事ができなくてさ。
でも、毎日ちゃんと撮っているよ。
行き付けの店、顔馴染みの店、増えた。この街も長いからね。でも、僕の行き付けと云える店は渋谷にある「はち賀」だね。その店以上の店は今後絶対に現れないと思う。
創業100年、その店主から言われた。「オレもプロだかお前もプロ。話していて楽しい」
と、還暦をとっくに越えているおっさんが僕のテーブルに座ってタバコをふかして言った。僕をプロ認めてくれた、僕がプロと認めた人。
「はち賀」はもうない。100周年記念行事のあとにおっちゃんは倒れてそのまま他界した。
病院から厨房にある御自慢のまな板を形見としてあげると電話があった。
僕は貰わなかった。
よかった、あの時間。ほんとによかった。