昨日さ、ファミレスで隣に座った四歳の男の子にカメラを渡したわけ。ファインダーが付いているカメラね。
最初は何も写ってないモニターを見ていて、ファインダーを覗くことを教えたら覗いていない目を手で塞いで、というより指で瞼を挟んでた。ズームレンズを付けていたから子供にとってはかなり重く感じただろうね。肩に思いっきり力が入っていたよ。
お母さんと来ていてね。ママを撮ってごらんというと小さい右手でカメラを持ってファインダーを覗いてシャッターボタンを押した。勿論、左手は片方の瞼を指で挟んでいたけどね。
最初のカットはちょっと望遠でね、やっとお母さんの顔が入っていた感じ。で、少しワイドにしてあげたら最後のカットはお母さんの顔をど真ん中にして写していた。
最初はカメラっておもちゃに興味を持ってシャッターを押しただけだったのに、それがすぐにこんなにストレートな写真を撮ることが出来るなんてさ。凄いよ。
あとでお母さんに伝えてやった。「正直だね、自分の好きなものをど真ん中に撮るなんて」
僕が初めて彼女を撮ったのは高校二年生の夏の終わり。その時の写真も彼女の顔はど真ん中にあった。バストアップ、少し秋めいた昼過ぎ、彼女は手で陽射しを遮って眩しそうにこっちを見ている。空が青かった。
あの頃から順光は好きだったんだね。
あ、ママさんとは仕事の関係で面識があって、そこのお店で偶然に出会ったわけ。携帯でメールしている僕の目の前でちょっと覗き込むように手を振って。
そんな感じで楽しい一時を過ごさせて頂きました。
だんご虫がひゃく。
あはは、その子、あ、男の子の方ね。だんご虫のようになって転がして欲しいんだってさ。それはやれなかったけどコウモリはやった。