先日女の子から電話があった、既に零時をまわっている頃。
「なんかいい店なぁーい?」
久し振りの電話。友達が上京するので上野近辺でいい店あったら紹介して欲しいと。
美味しい店?んー、ないな。食べられる店はあるけど美味しい店はない。強いて言えば、上手く料理している。山岸章二みたいだけどさ。
何年前かな、久し振りに大学の仲間と大学の近辺神楽坂で呑んだ時に、「オレが作った方が美味い」ということになって、それから飲み会は僕の事務所になったんだ。
天婦羅パーティー、おでんパーティー、…、お通しは豆腐、わかめの三盃酢合え、じゃこのごま油添え、鰺のたたき、いかのなんだっけ?そんなものを包丁を研ぐところから始めあーだこーだと言いながら作っていた。蕎麦が食べたくなったら蕎麦を茹で、ご飯が食べたくなったら米を炊き。酒はビール、日本酒、焼酎、ワイン、…、ウオッカもジンもなった。寝たかったら隣の部屋で寝て、さ。
僕が思う美味しいはこんなことを云うんだな。
子供頃、台所から聞こえる「ごはんだよ」。うちのおふくろはお世辞にも料理が上手いとは云えなかった。
「ごはんだって」、これは僕の部屋に子供が入ってきた時の台詞。一緒に食事をするのは日曜日の夕方しかなかった。
食事は生きるために必要なこと?
あー、そうだよ、必要なこと。
何の味を感じているか、なんだな。
先週、高校生二年生の女の子からここでモデルをやりたいと応募があった。
なんか様子がヘンなんでちょっと突っついてみると、
淋しいんだって。
その子の家庭事情までは聞かなかったけど、久し振りに高校生とメールのやりとりをした先週だった。
家族が幸せの代名詞だとは思わないが周りに人がいても淋しく思う人がいっぱいいるんだね。昨年出逢った既婚者もそうだったな。あ、東大生の子もそうだった。
世の中、自分の思う通りにはいかないさ。それが当たり前。それを嘆くことはないさ。
高校生の子、夢が叶ったら写真を撮って欲しいとメールが来た。
ちがうんだけどな。
まあ、いいか。
みんな各々自分の舞台で生きているんだね。それは人生劇場、あはは森山大道だ。その一場面を僕は撮っているんだろうね。
結構、しんどい、けど。