1.プロローグ(あの坂) | +cube;

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Web小説『+cube;』

ひとつひとつの物語。

不定期いろいろ公開。

巳已己による物語。

あっ、ミイコって読むよ!

ミーコでもいいや。


ほら、またそこに1つ、物語が始まるーーー



人は今日も知らず知らずのうちに虫を踏み、花を踏む。

踏んだ本人はその行為に気がつくこともあるけど、気づかずして踏んでいることが多いと思う。

まぁ、数えられるものではないから、絶対とは言い切れないけれど。

仮にも、虫や花に感情があって、人間語――

ここでは日本語としようか。

それで、日本語を話せたならこの世は随分と悲惨なことになると思う。


さあ、想像してみてください。

学校帰りや通勤中。

部活動中でもいいでしょう。

きっとどこかで、そのときあなたは何か生き物を踏みます。

ここで、

―――もしも、虫や花が言葉を話せたなら

想像できましたか?

叫びは聞こえましたか?

ちょっと想像しにくいなんて思う人がいたら、こう考えてみてください。


あなたは、花です。

風に揺られて咲いている、命短しちっぽけな花。

身動きのとれない花。

自分が踏まれる直前。

頭上には大きな足―― 


あなたは言葉を発せます。

無抵抗で死ぬのは嫌でしょう?

きっと叫びます。

『自分はここにいる。』

それを伝えるために叫びます。

きっと。

でも、現実では花は何も言えません。

いや、実は叫んでいるかもしれません。

―――でも私たちには聞こえない。

そんな花を、虫を人間は無意識に踏み潰してゆく。

花は、虫は、自分達の存在に気づいていないは人間に踏み潰されてゆく。


そんな、一輪の踏まれた花のお話――