子どもの発達が心配なとき、

発達が順調に進んでいるのかを見極めるために受ける心理検査。

 

今日は、それってどこで受けられるの?

受けたらどうなるの?

というお話です。

 

 

 

心理検査はなんのために受けるの?

「子どもの発達が順調に進んでいるかどうか」

これって、結構難しい問いですよね。

 

よくお見かけするのは、

子どもとずっと一緒に接しているお母さんは

「もしかしたら発達が遅いんじゃないか?」と疑っている。

 

でも、多くのお父さんは…というと、

「夫は『大丈夫だよ、問題ないよ、俺も小さいときはこうだったよ』

 って言い張るんです〜!」

とお母さんがおっしゃいます。

 

お父さんとお母さんで既に意見が食い違うくらい、

発達の見極めは難しいんです。

 

次に多いのは、

幼稚園・保育園の先生が発達の遅れを疑っているけれども、

保護者の方がそれを否定している場合。

 

子どものどんな姿をどのくらいの頻度で見ているのかによって

発達の見立ては異なってくる場合があるんですね。

発達の知識が少ない場合には、余計に主観が入ります。

 

そこで、心理検査などによって、

数字で発達を見立てよう!、という方法を用いることになります。

 

 

心理検査はどこで受けるの?

心理検査は、主に3つの場所で受けられます。

 

その1 病院

発達が心配なとき、病院に行こうかな?と思うかもしれません。

でも、一般小児科に行っても、発達の専門家がいない場合が多いです。

 

発達を専門に取り扱っている小児科は、

小児神経科や児童精神科など。

耳慣れない名前なので、科の名前を工夫しているクリニックも今は多いです。

 

もちろん、一般の小児科でも「発達障害」の標榜があれば

医師がきちんと発達を勉強している印になります。

 

そういった発達障害を専門にしている病院であれば、

医師だけでなく、臨床心理士や言語聴覚士や作業療法士など、

子どもの発達を支援できる専門職がいますから、

そういった人たちが心理検査を行います。

 

 

その2 教育センターなど

園や学校で発達の遅れが指摘されたとき、

心理検査を受ける場所を紹介してくれる場合があります。

 

「○○に行ってみますか?」と言われて

地域の教育センターに行かれる方も多いと思います。

 

そこにも発達の相談を受けられる医師や心理士がいて、

心理検査を受けることができます。

 

検査結果によっては、

教育を受ける場について助言を受けることがあるかもしれません。

 

また学校内にスクールカウンセラーや、心理士資格を持った教員がいる場合、

学校内で検査を受けられる場合もあるかもしれません。

 

 

その3 開業している心理士

今は、発達専門の病院が数ヶ月〜数年の予約待ちのところも増えてきました。

でも数年待っている間に、子どもはどんどん大きくなってしまいます。

 

そういうときに、個人で開業している心理士がお近くにいれば

検査を受けられる場合もあります。

 

こういうところは医療機関ではありませんから、

発達障害の診断や投薬を受けることはできません。

 

心理検査の結果を参考にして、

子どもの発達支援やカウンセリングなどを目的に開業している所だと思います。

 

 

まとめると、

診断と投薬が必要な場合は病院、

学校での指導のやり方を探る場合は教育センター、

個別の発達支援やカウンセリングを求める場合は開業心理士

というふうに考えると良いかもしれません。

 

 

 

 

検査を受けるときのポイント

昨日もお話したように、

意外と多いのは、

「病院で心理検査を受けたんですが、結果を知らされていません」というケース。

 

「では、その後は何かフォローが続いていますか?」

と聞くと、

数ヶ月に1回外来へ行って、10分くらい医師とお話します」・・・。

 

最初は、アゴが外れるかと思いましたがガーン

意外とこういうケースが多いので、

最近は私のアゴも外れずにくっついています。

 

でも、慣れるっていうのは良くないですね。

 

医療側の人間としてこの状況を推測するに、

おそらく、

心理検査の結果はIQも平均内か平均よりも少し下くらいで、

良すぎることも悪すぎることもなかったんでしょう。

だから、心理検査を根拠に診断をすることもできない…。

でも、実際にお子さんは学校や家で困っているが、ひどすぎる感じでもない…。

 

はっきりと診断はできない。

今はもっと重い子どもたちから発達支援の枠を埋めている。

予約はいっぱいだ。

この子はグレーゾーンかな? じゃあ経過観察しよう。

 

…やっぱり、アゴが外れそうです…ショボーン

 

数ヶ月に1回、10分の経過観察をして、

子どもが急に発達し始めるなんてことはありません!

つまりその経過観察、無意味です!

 

もちろん、お母さんからすれば、

もしもの時に相談できる場所を確保しておきたいと思って当然です。

 

でも「その病院、お母さんの助けになってる?」と聞くと

「全然(なってない)!」と答える人がほとんどです。

 

確かに、今はどこの施設も発達関係のところは予約でいっぱいです。

既存の人が、次の予約をとって帰られるので、

新規の人が入り込むことは至難の技です。

 

それに、さして特徴のない心理検査の結果を

きちんと読み取って、今何をすればいいのか、

適切なアドバイスができる人が、その病院にはいないのかもしれません。

 

心理検査は、実施することよりも、

結果を読み取って、今必要なアドバイスをすることの方が難しいんです。

 

ですから、心理検査を「取りっぱなし」にする機関が

多いような気がしています。

 

ですから、心理検査を受ける前に、

確認しておいて欲しいポイントがあります。

 

 

 

 

心理検査を受ける前に確認したい3つのポイント

今、発達業界では、心理検査は3種の神器になっています。

実際に、発達は目で見てすべてがわかる訳ではないので

確かにすごく有効なツールです。

 

でも、それをどうやって生かすのか?

そのスタンスを確認しておかなければ、受ける意味が半減してしまいます。

 

今日は3つのポイントのうち、その1をお話しします。

 

その1 検査を受けた後、指導が受けられますか?

 

先ほど説明したように、今はどこの機関も予約でいっぱいです。

ですから、困りごとがより大きいお子さんや、

絶対に休まずに通ってこられるご家庭が優先される場合もあります。

 

なんども言いますが、発達を進ませる薬は、今はないんです。

だから、適切に教育することが唯一の発達を進ませる方法です。

そして、その介入が早ければ早いほど、成果が現れやすくなります。

グレーゾーンのお子さんならなおさらです。

先延ばしにして放置するほど、問題が大きくなって、後々に残ってしまいます。

ですから、その後の指導もしっかりお願いした方が子どものためです。

 

しかし本来、病院は、教育機関ではないのですね。

ここで一種のねじれが生じてしまっているワケです。

発達支援を重視する病院かどうかで、検査の後が違ってきます。
 

検査は、治療の第一歩ですが、

検査だけで症状がよくなる訳ではありませんよね。

検査結果を活かせる人がいて初めて、検査が生きてくる訳です。

 

ですから、もし

「検査のあとは、専門的な指導が受けられますか?」と聞いた時に、

「うちでは発達支援は今は受けてないんですよ」という答えなら、

その検査は、診断に役立てるためなんだ、と理解してください。

もちろん、そういう検査の使い方もあるので、それが悪い訳ではありません。

 

そしてもうひと押ししてください。

「ぜひ指導を受けたいんですが!」

 

実は、発達障害の指導を始めたはいいけれど、

成果が現れる前に、すぐにやめてしまうご家庭も多いんです。

 

発達支援は1日にして成らず。

基本的には即効性を求めて受けるものではありません。

 

ですから施設側としては、真面目に通い続けられる方を

優先的にプログラムに入れてあげたいという気持ちが芽生えることもあります。

 

あるいは、特に幼児期の場合には、

障害が重い子どものプログラムは用意されているけれど、

軽度の子どもや、グレーゾーンの子どもに合うプログラムが

用意されていない施設もあります。

 

そういう説明が帰ってきた場合には、

「家や学校でやれることを、結果と一緒に教えてください」と言ってみましょう。

 

そこでグズグズ言って、明快なYesが帰って来ない施設は、

残念ながら、心理検査を実施できても、結果を読めない可能性が高いです。

 

数字しかわからない。

だから平均内の数値が出てきたときに、何をしていいのか分からない。

診断には活かせるけど、指導には活かせない…ガーン

 

どんな結果であろうと、

「やることが見つからない」なんてことは本来ありません。

 

ですから、

あなたが今受けようとしている検査は、

診断のためだけに使われようとしているのか、

診断と発達支援のために使われようとしているのか

どちらのスタンスなのかを見極めおくことが大事です。

 

心理検査の順番だって、待って待ってようやくゲットしたのかもしれません。

 

検査結果もまともに聞かされずに

「ま〜、平均よりちょっと下ですけど、取り立てて低い訳でもないですよ」

なんていうヘッポコ回答をされないで済むように

ジャブを入れておく方法(その2、その3)を

明日解説しますね!

 

 

熊しっぽ熊からだ熊からだ熊あたまクマムシくん音符

吉野加容子

博士(学術)、臨床発達心理士

 

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