もう3月ですね。

 

朝の空気に、ほんの少し、

やわらかな香りが混じりはじめました。

 

そして、3月といえば卒業式の季節

 

幼稚園や保育園の小さな門出から、
小学校、中学校、高校、大学・・・


どの卒業にも、それぞれの物語があり、

「おめでとう!」という言葉が

自然にこぼれてきます。

 

この時期、街で見かける袴姿の大学生は

本当にあでやかですね。
 

凛としていて、それでいてどこか可憐で。

 

大正や昭和初期の女学生たちも、同じように

未来への希望を胸いっぱいに抱いていたのでしょう。
 

大学の卒業式で袴が広がったのは

1987年の映画「はいからさんが通る」だったと

言われています。

 

今では小学生の卒業式でも袴姿がめずらしくありません。


私がお仕事をしている塾でも、
「今日、卒業式だったの!」と
金箔ヘアのままやってくる小学生がいます。

 

「写真見せて!」

 

厳かな式典の余韻と、子どもたちの無邪気な笑い声。
なんとも春らしい空気が漂います。

 

卒業式は英語で graduation ceremony と言いますが、
アメリカの大学では

commencement という言葉も使われます。

 

commencement とは
「始まり」という意味なのだそうです。


終わりではなく、はじまり。


そう思うだけで、

景色が少し和らぐように感じます。

 

さて、


あなたの心の中にも、
そろそろ卒業したい何かはありませんか。

 

「ちょっとだけ」の我慢。
「これくらいなら」と自分を後回しにした気持ち。

 

初めは分度器の小さな1度、2度だったかもしれませんが

そのまま進めば

先では大きく広がっていきます。


気づけばなんだかくしっくりこない違和感に・・・

 

なんとなく周りに合わせて。
嫌われたくなくて。
私がやるべきだから、と。

 

もしかすると私たちは、
「我慢という名のやさしさ」を

長く続けてきたのかもしれません。

 

もちろん、成長させてくれる我慢もあります。

でも、心が置き去りのままなら、

 

ちょっと立ち止まって、

あなたの心の声に耳を当ててみませんか。

 

本当はどうしたいの?
どうだったら、心がよろこぶの?

 

すぐに答えが出なくても大丈夫。
問いかけるだけで、

心の奥に小さな灯りがともります。

 

こころの声は、たいてい小さな声。

でもその声に優しく気づいてあげられるのは

そう、あなただけ。

 

なにも、いきなり全部を変えなくてもいいのですよ。
 

嫌なことから少し距離を置く。
やさしく「No」を伝えてみる。

 

それもまた、

あなたと相手を大切にする思いやり。

 

こうして分度器を1度だけ戻してみると、

それだけで風向きはゆっくり変わり始めます。

 

そしてもうひとつ

とっておきの小さなな魔法
 

それは、あなたの「大好きな時間」を

ほんの少し、増やしてみませんか。

 

朝のコーヒータイム
空を見上げるひととき
寝る前の静かな数ページ・・・

 

それが一日のほんのわずかな時間でも、

柔らかな光がこころに差し込んできます。

 

ある小学生の男の子が言いました。


「お母さんが鼻歌を歌いながら料理してると、

なんか嬉しいんだ。」

 

鼻歌を歌いながら、毎日の食事を作ってくれている。

 

そんな、お母さんのほどけた心を

きっと感じ取ったのでしょうね。

 

何も変えずにモヤモヤするのも自分。
少し角度を戻して軽くなるのも自分。

 

ほら、懐かしいキャンディーズの「春一番」が、

どこからか聞こえてきます。

 

泣いてばかりいたって しあわせはこないから♪
♪重いコート脱いで 出かけませんか♪

 

我慢というコートをそっと脱いだとき、
思っていたよりやわらかな春風が、

心の奥まで入り込んでくるかもしれません。

 

卒業証書がなくても、
「蛍の光」が流れなくても大丈夫。

 

こころの中で、そっと拍手を。

 

あなたの始まりをいちばん祝福できるのは、
やっぱり、あなた。

 

もし、今日、昨日とは違う春の訪れを感じたなら、


もしかしたら、それが、

始まりの気配なのかもしれませんね。

 

我慢して生きるほど

人生は長くない

<鈴木裕介さん 心療内科医>

 

音譜今日もお読みいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします。音譜