翌日、あの坂をいつものように自転車で登る。
だが、今日は何故かいつものように元気よくこげずにヨロヨロと
坂を登る。
昨日、声がしたところに差し掛かると「待ってー」とまた声が・・・
振り向いても誰もいない。
そして、次に足音が「タッタッタッ」と私を追ってくる。
逃げようと思うが、力が出ない。
ヨロヨロと自転車をこぐのが精一杯。
とにかく逃げないと、と思うがダメ。
すると、その足音が段々近づいてくる。
だめだ、もうすぐ追いつかれる。
わぁーっ、と思ったら・・・
音が消えた。
ふぅーぅ。 あー、怖かった。
と安心したその時、私のすぐ耳元で「やっと、追い付いた」と女の声。
ぎゃーぁー!
後はどうやって帰ったかは覚えていないが、朝自転車がないところを
見れば放り出して走って帰って来たんだろう。
後で調べてみると、その中学校のある体育部に所属する女子が
その坂道をトレーニングで走っていたが、少し体力が劣るため
いつも同級生から遅れて走っていたようだ。
ある夏の暑い日、坂道トレーニングで何とか同級生に追いつこうと
頑張ったのだが、それが悪かった。
暑くて熱中症を起こしかけていたのに無理したため倒れてしまい、
病院に運び込まれたまま帰らぬ人となったらしい。