↓↓↓
(メルマガ「地球を癒す☆こころざしメール」より引用)
■昨日の続き■
メアリーは水の近くにいることで
そわそわし始めた。
彼女は時間が経つにつれて
落ち着きがなくなり、
いらいらし、
しまいにはひどく動転してしまった。
「みぞおちに響くんです。
水を見ると、
いえ考えるだけでも、
みぞおちで感じるんです」
これを聞いた瞬間、
ひとつのアイディアが浮かんだ。
それまで正式に
鍼灸療法を学んだことはなかったものの、
私は中国医学の理論に通じていた。
つまり、
エネルギーが
経絡と呼ばれる道を通って流れていること、
その経絡は
鍼灸の治療点と一致していることである。
中国医学の考え方によれば、
エネルギーの流れがバランスを崩すと
病気になる。
そして今メアリーは、
むかつくような気分にするのは胃なんです
と言ったばかりではないか――
胃の経絡の一番最初のスポットは
目のすぐ下にあった。
絶望と出来心から、
私は目の下を指しながらこう言った。
「ここを叩いてみてください」
「水が怖い、と思いながら、
目の下をしっかり指で叩いてみてください」
それから私は
メアリーが目の下を叩くのを見ていた。
(中略)
二分ほど経っただろうか、
メアリーは叩くのを止めた。
その目は輝いていた。
「なくなっちゃったわ!」
「何がですか?」
「みぞおちのいやな感じよ。完全になくなったわ」
完全にだって?
信じられなかった。
私にはメアリーの言葉が
すぐには理解できなかった。
しかし私が口を開く前に、
彼女は椅子から飛び上がってプールめがけて
駆け出していた。
その顔には笑いが浮かび、声さえたてていた。
彼女の足はどんどん速くなった。
ようやく私は、
彼女を止めなければ
プールに跳びこんでしまうのだと気づいた。
彼女はかなづちなのだ。
そう考えた瞬間、
恐怖に凍りついたのは
私の方だ。
「メアリー、止まるんだ」。
私は彼女を追いかけながら叫んだ。
メアリーはちょっと立ち止まると、
満面の笑みを浮かべて振りかえった。
「ご心配なく、キャラハン先生。
自分が泳げないことぐらいわかっていますよ」
(以上、
「TFT(思考場)療法入門―タッピングで不安、うつ、恐怖症を取り除く」
著、ロジャー・J・キャラハン先生
より引用)