社長からの用命で
スペインバルBに向かう
池袋の喧騒に飲まれ
エネルギーを奪われながら辿る道
この街との相性はすこぶる良くない
これまで
学生時代に受けた職質質問
計画倒れになったゲリラギグ
多数箇所設置されているのに封鎖されているコインロッカー
どうやらこの街は
僕を遠ざけてきた気がする
そんな事を考えながらも
人波をかき分け社長の店に着く
僕が一通りスタッフに挨拶を済ませると
社長は言った
『今日はX会館で先生のお付きをしてちょうだい』
X会館はその店から徒歩10分圏内にあった
会館に着き
エレベーターの8Fで降りると、、、、
白いスーツを着こなし洗練された1人の女性が
まだ毛の生える前の少女とアルプス一万尺をしている姿が目に映った
その時
2007年の某春の日が甦った
新卒として社会人に成り立ての
彼女を祝ったあの日が
夕方に商談をねじ込み
即決をして適度に時間を弄び
確信犯的に直帰時間に連絡を滑らせる
そうやって特別な日はやりくりする
営業マンなら誰もが使うあの手その手孫の手
僕はまだまだ駆け出しの頃だった
今思うとあの頃の努力などゴミ以下だ
時間調整をした僕らは
駅前にあったとり鉄で焼き鳥を食べていた
もう何の話をしたかなんて覚えていない
まだ入社して何日目であろう彼女の
初々しく微笑む姿が印象に残っている
働く事の意味なんて
全く分かっていなかった
僕らは極めて
一般的で
標準的で
常識的な枠に収まっていた
僕が逸脱するまでは、、、
時は2015年春
君は今
満たされているだろうか
春を感じたこの日
ふと思う