ポーランドを巡る 2つの課題 その 1
新年早々、ポーランドは 2つの課題を抱えてしまった。 一つは原油輸入問題であり、
そしてもう一方は新中銀総裁である。
まず原油輸入問題。 ロシアは東欧諸国の中で比較的友好関係の続いていたベラルーシに
対し、昨年末に天然ガス供給ストップをちらつかせながら値上げを要求。 交渉期限であった
1月1日午前零時の 2分前に決着したものの、従来 1,000立方メートルあたり 46.88ドル
であったロシア産天然ガス価格を一挙に 105ドルへと倍以上の値上げを通告し、今年 1月
1日から実施することで合意した、というより余儀なくした。
ソ連崩壊以降もベラルーシとロシアは深い繋がりが続いていたのであるが、その後ルーブル
通貨圏使用グループ形成や政治体制再構築でその関係が徐々に悪化。 市場ではこの
報復措置としてベラルーシに天然ガス供給価格の大幅値上げを突きつけたと見ており、
昨年 1月には同様にウクライナに対して供給ストップを実施している。 さらにロシアは
アルメニア、アゼルバイジャン、モルドバ、グルジアへのガス価格の大幅値上げを実施
しており、今回のベラルーシとの合意は今後も段階的に値上げを実施し、 2011年には
欧州西側諸国向けの水準である 293ドル近辺までの値上げを通告している。
ベラルーシはその天然ガスや原油輸入のほぼ大半をロシアに依存しており、9.5 %の
成長を遂げている同国にとっては大打撃となる可能性が高い。
ところがベラルーシは年明け早々ロシアに対し反撃を開始。 同国経由で西側諸国に
供給されるロシア産天然ガスおよび原油輸送に対し通関輸出入税をかけるとロシアに
通告。 さらに 1月 8日にベラルーシパイプ関連会社は東・西欧 3カ国に対しパイプ
ラインの輸送停止を発表した。
この動きに反発したロシアは、「6日以降ベラルーシは何の相談も無く原油を抜き取って
いる」と非難。結局ロシア自らが原油供給停止を実施するという暴挙に出た。
このとばっちりを受けたが、ドイツ、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアそして
ウクライナの 6カ国。 ロシアから伸びるドォルジュバ原油パイプラインはベラルーシで
分岐され、一方がポーランドとドイツ、もう一方がウクライナ、スロバキア、チェコ、
ハンガリーへと続く世界最長のパイプラインであるが、8日以降原油輸入がストップした
ままになっており、欧州委員会は「供給責任を果たしていない」とロシア、ベラルーシ
両国に強い非難声明を出した。
さらにロシアはパイプ・ラインによる原油輸送に保証が出来ず、代用輸送手段も持って
いないため、今後原油産出の削減の可能性を示唆している。
現在ポーランドは約 80日分の原油備蓄があり、今日明日に枯渇することはないとし、
海上輸送に切り替えるとしてはいるが、供給再開のめどが立っておらず、また将来
同様の事件が発生するのであれば成長が著しいポーランド経済に打撃となる
可能性が残っている。
なお、現在ポーランドは総原油輸入の 7割強をロシアから調達している。
*** 下へ続く ***