入院中の病室は
8人部屋でした
満床ではなく流動的で
だいたい 5、6人でした
脳神経外科の入院患者さんは
高齢の方が多く
こんな私でも 若手の方でした
同室だった方で
私よりも数日前から入院してた みほ子さんは
70代のおばあちゃんで
意識や言葉はしっかりしていますが
殆ど寝たきりの状態でした
トイレに行く時も
枕元のナースコールを呼んで
看護師さんに車椅子に乗せてもらい
連れて行ってもらう状態でした
それでも みほ子さんは
いつも明るくて とても優しい
笑顔が可愛らしくて
きっと お若い時は お綺麗で素敵だったのだろうと思われる方でした
私も 時々様子を伺いながら
お声掛けさせて頂いて
今日のリハビリが大変だったのよー
なんて話しを聞かせてもらったり
私がバレエの話しをしたら
いいわね~ きっと素敵でしょうね~と
目をキラキラさせて聞いて下さいました
みほ子さんのご主人も
一日に何度も訪れて
夕飯を共にしたりと
素敵なご夫婦でした
でも
みほ子さんの状態は 余り良くないらしく
ご主人が先生から説明を受けている背中が
辛そうでした
みほ子さん自身も
その事を知っているかのように
ある日 私に
私は もうダメみたいだけれど
あなたは まだ若いんだし
頑張って、頑張って…
私は 目から涙が溢れるのを
一生懸命我慢するのに必死でした
その後 私は退院して
2カ月位した頃
バレエも再開し始め
また いつもの生活に戻りつつあった時に
レッスンに行く朝
新聞を見ていた私の目に飛び込んで来たのは
おくやみの欄に載っていた
みほ子さんの お名前
あの時から
たった2カ月しかたってないのに
あんなにしっかりとしていたのに
こんなにも 人の命は はかないものなの…
ショックで 手は震え
涙が止まりませんでした
レッスンも もちろん行けませんでした
いつも へこたれそうになった時は
あの みほ子さんの言葉を思い出して
まだまだ頑張らないとと
自分にいい聞かせています
みほ子さん ありがとう!
命には 限りがあるから…
次回に続く