※ポーズ、建築物はお借りしているものです。いつもありがとうございます！

「エヴァンズ」

「アーチー・エヴァンズ！」

「こちらへいらっしゃい」

「コナーをいじめてた奴を殴っただけです！」

「それはコナーから話を聞いたので分かっています。私が感心しないのは、あなたの暴力のことですよ」

「弱いものいじめしてるやつらに殴ってわからせて何が悪いんですか？あいつら、コナーが廊下で吐いたからってそれだけでずっとコナーをからかって…」

「もちろんそれはあの子たちの行為が間違っています。でも、あなたはなんでも力で解決しようとする。友達を大切に思う気持ちは分かりますが、他に解決方法はいくらでもあるはずです」

「アーチー、あなたはとても正義感の強いシムです。それはあなたの素晴らしい美点だわ。私はあなたが、その正義感を正しく使ってくれることを望んでいます」

「よく考えなさい」

「大切な人たちを守るために、最善の方法はなんなのか。あなたならきっとできますよ」

その孤児院では、子どもたちはアルファベット順に名付け辞典から取って名前をつけられていて

Aはアーチー、生意気で手のつけられない問題児。

Cはコナー、体が弱くて臆病で、いつもいじめられている哀れな子ども。

Bは名前を覚える前に、養子として受け入れられることが決まった。大人しくて天使みたいに可愛い顔をした女の子だったから。

Dからあとはどうしても思い出せない。多分、話したこともあるし一緒に食堂でご飯を食べたり面倒を見たりもしたはずなのに。

Bを飛ばして、問題児アーチーと臆病者コナーは仲良くなった。

アーチーは孤児院にいる誰よりも強くて逞しい子どもだったし、ぶっきらぼうだけど優しいところもあった。コナーはアーチーみたいないいところは一つもなかったが、彼のことがとても好きだったし、本をよく読んでいて頭でっかちなのはコナーの方だった。

2人は小さいながらに世界のことをよく知っていた。

自分たちが天涯孤独だということを。

愛されない子どももいるということを。

誰も自分たちみたいな子どもを欲しがらないことを。

だからふたりでずっと一緒にいるということを。　

でも…

コナーだけが裕福な家に引き取られることが決まった。

「…アーチー」

「聞いたよ。家族ができるんだって？おめでとう。よかったじゃん」

「…よくないよ。僕の家族…になる人たち…が住んでるお家、ここからすごーく遠いところなんだって。もう、アーチーに会えなくなる」

「僕、ここから出て行きたくない」

「別の場所に行ったって、アーチー以外に友達なんかできないよ」

「…もう俺はいらねーじゃん。新しく家族ができるんだから。お前はもらわれていって、俺はここに残るんだから」

「僕、もらわれたくない！」

「僕、聞いたんだ。僕の家族になる人たちは「じひぶかい」人たちなんだって。だから僕みたいに、体が弱くていつまで生きられるか分からない子どもをもらうんだって」

「本当はアーチーみたいに、頭が良くて強くて立派な子どもが欲しいけど「じひぶかい」から僕をもらっていくんだよ」

「じひぶかいって、何？」

「わからない。でもシスターがそう言ってた。多分、よくない意味だとおもう」

「じゃあ、コナーはじひぶかい人にもらわれていくから、もう会えないな…」

「…アーチー」

「僕のお葬式に来て」

「…はあ！？急に何言い出すんだよ」

「アーチーも知ってるだろ。僕、ここにいる間いつも病気だった。もうこれから先もずっと病気なんだ。たぶん、どんどんひどくなってそのうち死んじゃうんだと思う」

「…ばかなこと言うなよ。死ぬわけないだろ…」

「アーチーは僕のいちばんの友達だから」

「お願い。生きてるうちにもう二度と会えなくても、必ず僕のお葬式に来てくれるって約束して」

「…わかったよ」

「アーチー、ありがとう」

「まだ、死ねてない……」

コナーのイメソン

その１

その２

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