※デフォシムのBLがあります。苦手な方は閲覧をお控えください※
リバティ「ようこそ!これからご近所同士よろしくお願いします!」
?「こちらこそ!知り合いのいない土地に1人で越してきたので、ご挨拶に来てくださってとても嬉しいです。お二人はシェアハウスされてるんですか?」
サマー「私たち2人と、あと1人男の子でシェアハウスしているんです。今日は仕事だから来られなくて残念がってました」
?「へーえ…あ、顔に何かついてますよ」
リバティ「え?どこ?」
?「この角度だとよく見えないな、ちょっと横を向いてみて…そうそう」
?「バァッ!!!うっそだよーん!!!!」
リバティ「大きい声出さないで…面白くないし…」
?「ていうかこの土地では大人数で押しかけて人の家でワイワイやるのは恒例行事なんですか?掃除機かけたばっかりなんでできれば早く出て行って欲しいんですが!」
サマー「ちょっと何よその言い方!?」
?「頼んでもない歓迎なんて迷惑ってことですよ」
「ちょっと変わった人みたいだ…関わらないほうがよさそうだな」
「聞こえてんだよ」
「…私たち、もう帰りますね。今後ともよろしく…」(もうあんまり関わりたくないけど…)
鬱陶しいのがやっと帰った。
俺の名前は「まえがみ うねり」。
俺みたいに「社会の敵」を目指してるシムにとっては、ご近所の歓迎はクソイベントのひとつ。
何がご近所だ、ニコニコしながらフルーツケーキ持ってきたって明日には全員俺の敵だっつーの。
俺はこんな感じのシム。
頭に血が上りやすくて、昇進しないと我慢できなくて、恋人には手錠つけてでも俺だけのものでいて欲しい。今は恋人いないけど、できたら死ぬほど束縛するよ。だってそうするのが普通だろ?
そういや今日来たあの女2人、男とルームシェアしてるって言ってたな。
どんなツラしてるか見に行ってやろう。ついでに喧嘩の2、3発ふっかけて帰ってきてやるか。
ふーん、でかい家住んでんじゃん?
金持ってんだなあいつら。ある日突然全額俺に渡したくならねーかな。
さてと、コイツか…
見つけてしまった。
俺のミューズ。
うねり「…もしかして、星のかけらを食べて生きてる…?」
「毎晩、虹をまくらにして寝てるのかい?」
「喉が渇いたら、神の涙を飲むんだね…」
「お願い答えて、俺のミューズ…」
トラヴィス「ええ?あ、僕に言ってたの?ははは…」(ドン引き)
うねり「はじめまして、僕は君に夢中のうねり」
トラヴィス「夢中って…今会ったばかりですけど」
うねり「恋に落ちるのに時間は関係ないよ、そして僕は今もどんどん君に溺れて行ってる…君は深い海のよう…」
トラヴィス(なにこの人…)
最初の自己紹介を見て、「うねりって無神経なやばいだけのやつだ」って思ったならちょっと違う。
俺はこう見えてデリケートでロマンチスト。
好きな人を目の前にするとポエムを読んでしまうのだ。
そんな俺は、今日運命のシムに出逢った。
神様ありがとう!俺はこの命尽きるまで彼のためにポエムを読むよ。
トラヴィス「新しいご近所さんだったんだね。挨拶に行けなくてごめんなさい。僕の名前はトラヴィス」
トラヴィス。古いフランス語で、「航海」とかそんな意味があったはず。
俺の愛で荒れ狂う海に、その細く美しい体で飛び込んできて欲しい。
うねり「トラヴィス…とっても美しい名前ですね。あなたにぴったり」
トラヴィス「はは…ありがとう。お世辞が上手だね」
うねり「お世辞なんてとんでもない。美しいシムを見たら賛美せずにはいられない…普通のことですよ」
サマー「…あなたなんだかこの前と様子が違わない?」
うねり「あ、こないだはどうも」
トラヴィス「引っ越してきた時からうねりはこんなにお世辞がうまかったの?」
サマー「とんでもない。むしろ、逆っていうか…」
うねり「余計なこと言うなっ!!」
サマー「なんだってそうカッカしやすいの!?普通の会話をする気ある?」
うねり「ないね!」
うねり「あんた相手には、ってことだけど。俺はミューズと話をしに来てるんだから」
トラヴィス「…ちょっと。彼女は僕のルームメイトで大事な友達だからあんまり失礼なこと言わないで欲しいな」
うねり「そうなんだ、でも俺本当に君以外に興味を持てなくて…」
トラヴィス「ちょっと!!」
トラヴィス「いろいろと急すぎるよ。僕に妙なお世辞を言ったりサマーに当たり散らしたり…申し訳ないけどもう今日は帰ってくれない?」
サマー「そうよ。帰って。あなたの顔当分見たくないわ」
チッ…
急すぎるってなんだ?好きになったらすぐにでも自分のものにしたいじゃないか。
それにあんなに可愛いんだぞ。放っておいたら誰に奪われるか分かったものじゃない。
早く俺のものにしないと。だって彼は俺のミューズなんだから…
ああイライラする!!イライラして仕方ない!!
せっかく運命のシムに出会えたのに、しょっぱなからうまくいかなかったことにイライラしてしょうがない!!
当たり散らしてこの怒りを解消したい!!
願望が「社会の敵」でよかったよ。
人を怒らせるたびにこの上なく満ち足りた気持ちになれる。
怒りが収まった頃、トラヴィスからお誘い!
嬉しいな。俺の気持ち、やっと分かってくれた?
うねり「お誘いありがとう、トラヴィス!今日も綺麗だね」
トラヴィス「ああ…うねり、見て!セレブのダーク・ドリーマーだよ!」
うねり「眼中にあらず!こっちを見て、チュッ!」
トラヴィス(セレブに興味ないならなんで一緒に来たんだろ…)
うねり「ねえミューズ…俺の恋人になって」
トラヴィス「は!?」
トラヴィス「あのさ…今日はそういうつもりで誘ったんじゃないよ。この間も言ったけど、いろいろと急すぎると思わない?僕たちまだお互いのこと何も知らないよね。こういうことは、もうちょっと時間をかけたほうがいいんじゃないかな」
うねり「そっか…」
確かに、俺はトラヴィスが運命のシムだって知ってるけど、トラヴィスが何に関心があって、普段どんなことをしてるのかとかは、まだ何も知らない…
でもそれって全部知らなきゃ恋人になっちゃダメかな?恋人になってから知るんじゃダメ?
トラヴィスがそう言うなら、その気持ちを尊重したい。だけど…
君を早く俺のものにしたいよ。とにかく早く。今すぐにでも。
せっかちな俺にしては、辛抱強く時間をかけてる方だ。なんでこんなに焦ってるかって、分かるだろ?
1秒でも早く、トラヴィスが俺のものだっていう証が欲しいんだ。
早く「トラヴィスの恋人」っていう称号を手に入れたい。早く俺のトラヴィスになってほしい…
うねり「トラヴィス!歌唱スキル1なのに、天使のような歌声だった!」
トラヴィス「や、やめて…下手なのは分かってるから…」
うねり「やっぱり俺のミューズ…もう1秒も我慢できないよ、君のことが大好きだ。愛してる」
トラヴィス「…あの…」
トラヴィス「僕も」
恋に落ちるのは一瞬。
一度落ちたらもう二度と這い上がれない。
でも俺はラッキー。
落ちた先に、こんな綺麗なシムがいたんだから。
一生ここにいるよ。ずっとトラヴィスのそばにいるんだ。
トラヴィスの目を見てると分かる。
トラヴィスも俺と同じように思ってるって。
だからトラヴィス…
早く俺だけのものになって。
トラヴィス「もう結婚?君って本当にせっかちなんだな!」
トラヴィス「でも嬉しいよ」
これでトラヴィスは正真正銘俺のもの。大好きだよトラヴィス、一生離さない。
トラヴィス「楽しいデートだった、ありがとう!今日はいい時間だし、もう帰るね」
うねり「え?帰っちゃうの?」
トラヴィス「うん。明日も仕事だし…ごめんね。またデートしよう!」
うねり「うん。絶対だよ。毎日毎秒デートしようね」
トラヴィス「あはは!君って本当に面白いね」
うねり「絶対だよ。帰ったらすぐ連絡ちょうだい。絶対に絶対に、絶対にだよ」
トラヴィス「分かったってば!」
次の日…
どんなに待ってもトラヴィスから連絡はなかった。