残穢 -住んではいけない部屋- (2015年 106分)
監督:中村義洋
出演:竹内結子、橋本愛、滝澤賢一、佐々木蔵之助、坂口健太郎
ホラー映画というジャンルが好きだ。怖かったらもちろん良し、怖くないときは作りがあまりにも粗雑であることだったり、キャストの演技が下手くそだったりして笑えるのでどちらに転んでも大半のものはだいたいおもしろい。
そもそもこの映画のタイトルである「残穢」という言葉は辞書には存在しない単語らしい。どうでもいいですね。
あとサブタイトルの-住んではいけない部屋-ってなんだよ。「リアル -完全なる首長竜の日-」かよ。
この監督の過去作の「アヒルと鴨のコインロッカー」が酷かったからクレジットを見て見るのをやめようかと思ったけれど、橋本愛見たさに見た。橋本愛かわいい。
こういうホラー映画って大半のものが低予算だったりのアイデア勝負のものが多いんだろうけど、この映画なかなかに金かかってる。
出演陣が無駄に豪華で、主演の竹内結子や橋本愛はもちろんのこと、滝澤賢一や佐々木蔵之助といった実力派俳優、坂口健太郎や成田凌といった今旬のキャストまで幅広く知名度の高い俳優を起用してる。まずこの時点で笑える。
全然関係ないけど、坂口健太郎って上手いことこういう役に落ち着いたよな。ちょっと前まではこういう爽やか薄顔ハンサムは向井理といった風潮だったのに移り変わりは早いな。
因みに映画にもなんにも関係ないですけど、僕の一番好きな架空の生き物はくノ一の格好をしている国仲涼子です。よろしくおねがいします。
ディテールも色々おかしくて、まず橋本愛が久保さんという仮名の役で登場するはずなのに、はがきの差出人の名前や表札が久保だったり、首吊った人間の死体どんだけ横揺れするんだよ、とか途中自殺してしまうアパートの住人がテディベアのような格好で首吊り自殺するので、お前絶対足地面に着くだろバカ、成田凌お前ニット帽被りながら毎日寝てるのかよ、といったストーリーと関係ないどうでもいいところで笑えるのがかなりノイズになった。
かといってストーリーがかなり綿密に作られているわけでもないのでなんだか途中でどうでもよくなってしまう。
登場人物もストーリーの進展のためにただ登場して死んでいく人たちが多くて、登場する意味がかなり記号的になってしまっていて、どうせ死ぬ人としてでしか次々と現れるモブキャラを見ることが出来ない。
テディベアのような明らかに不自然な耐性で自殺するモブキャラ。確実に足地面に届くだろ!という声も上がりそうだが、この映画ではすんなり物語は進行していく。というか、実際にこの形での自殺の通報があったら警察は他殺を疑うだろ。
途中で登場するかなり怪しいお坊さん。こういう人が出てくるだけで最高だ。
首を痛めた竹内結子。てっきり霊的なものの仕業かと思いきや持病が悪化した結果首を痛めたらしい。えっこの描写いる!??ブラフにしてももっとマシなやり方あるだろ。
首が据わってない竹内結子もかわいい。
寝るときもニット帽を脱がない成田凌のカット3枚。橋本愛、竹内結子を抑えてこの映画で一番キュートだ。
個人的にはこのまま窪塚洋介みたいにいつまでも余裕そうな顔で突抜けて欲しい。
炭鉱で葬られた怨霊が「焼け!」とずっと呻いてるんだけど、それがかなりカメックスの鳴き声に似ていてニヤニヤしてしまったな。結構似てるからもし見るんなら注意深く聞いていて欲しい。
他にも回想録パートがナレーション主体で進んでいくからどうしてもTV製作の再現VTRみたいになってしまっている。ただ、これは良い点でもあって、実際に怪談話を聞いているような感覚だ。こういう感情になったホラー映画は初めてだったのでこの点は評価したい。
この映画は伏線を上手く回収していますよ〜アピールなのか知らないけど、伏線回収シーンではわざわざオリジナルのシーンを一瞬挟んでより丁寧に伏線回収を遂げている。このことによって確かにバカでもトリックがわかるようになっているけど、その演出が結構うっとしい。カットがチャカチャカ変わるから恐怖の緊張感がどうしても維持できないというか、100集中してストーリーの怖さに没入することができない。
再現VTRみたいに見えてしまう問題としては、やはりCGのチープさも挙げられるだろう。どうしても朝のNHK連続テレビ小説レベルのCGで見ていてちょっときつかった。でもこういうチープさがホラー映画を楽しむ上での必要なファクターだったりする。
佐々木蔵之助の怪談オタクの役はかなり良かった。オタク特有の興奮して早口になってしまうようなベタな演技なんだけどこの人がやると自然にそういう人に見える。
これは本当にどうでもいいんだけど、橋本愛と竹内結子が住んでいる部屋がかなり積水ハウスっぽい。CMみたいでこのまま山本美月も登場するのかと思っちゃった。
と、まあわりと貶してるようなことを言ってしまったけれど、全然見れなくはない。クソ映画認定は出来ないけれど、かと言っていい映画でもない。こういう可もなく不可もなくみたいな映画を見てしまうと、どうしても一ヶ月くらいしてから全く思い出せないので、この機会にここに留めておいてよかったと思える。
B-