2023年7月30日製作総指揮・作・演出:西野亮廣『テイラー・バートン』を観ました。

宮迫博之
木下隆行
戸田恵子
阿部よしつぐ
西野亮廣


「自分の劇団を立ち上げたい」といつか漏らした先輩の本音を、西野さんがしっかり握りしめて凸。そこからのスタート。決まっているのは、日程と会場。そして主演、宮迫博之。それだけ。


その後、一人ずつ凸されては明らかになり、5人のキャストが勢揃い。客席数の少ない会場で、2日間の幻のような公演スケジュールでした。
また、日本の演劇界への大きな一手として、お芝居以外の製作面でも問題点と解決策を上げては解き、見つけては改善して、挑む姿と現在地を共有してくれました。過程を見せてもらうと、晴れ舞台の幕が上がるその時に、一つ一つがよみがえってきて感慨深いものだと痛感。


エレベーター分のまばたきをして、降りた瞬間から異世界。作り込まれた会場と照明と音楽に、わぁ!ってなって、ひーひー笑って、最後はゾクッ。鑑賞というよりは体感。脊髄反射で漏れる声。


動きも言葉も観客さえも、散りばめられるどの点にも意味があり、必ずどこかに繋がっていて、笑っている間にそれが幾重もの線となり交錯して、全貌が見えた時、その精巧さに愕然とします。見えていたと思っていたものの、もっと奥があったりして。


下心と上面を、表情や声色で瞬時に切り替える。大ぶりで立ち回りながら、コメディーがいとも自然体に映ります。まわりの動きや言葉に張るアンテナの感度の高さ。絶妙な間合い。今公演の台本を手にし、拝読してから観ると、演じることの深さを知り驚きました。


作り込まれたセットはまるで異世界。その境界線さえ塗り潰すような照明の赤。視線が舞台上の上へ下へ。想像力もまた上階下階へ。リアリティーとファンタジーを曖昧にしていきます。ノーストレスで心地よく流れる音響は、もはやサブリミナルで、今も無意識に頭に流れてはシーンを思い出してます。


とにかく緻密な台本と、巧みな演者、上質な技術や美術。ワンシチュエーションの会話劇であり、特級のエンターテイメントショーでした。
全員が虎視眈々。知れば知るほど知りたくなって、ゾクゾクが増していきます。
それぞれの物語に焦点を合わせて追って観たいです。


まもなく配信公演開始。
生の舞台では観尽くせないところにまで手の込んだ、臨場感あふれる演劇型の贅沢な映像作品のようです。
長めの視聴期間に感謝です。
(2023年8月1日13時00分〜2023年9月30日23時59分まで)
ありがとうございます。