派遣先にて社員登用してもらえることになった。

わたしはA社を、元同僚MはB社の担当をすることになった。どっちもそれぞれ癖のある得意先で、苦労はあったが各々それなりにこなしていた。


わたし達がA社B社を担当していた時はそれなりに平和な日々で、元同僚Mが伝票の処理の仕方を間違えて新人でもしないような隠蔽(伝票に印字された金額を手書きで修正して、そっちで処理するw)を図って問題になったり、元同僚Mが虚弱体質でしょっちゅう当日欠勤してたのが実は全部仮病だったりした(わたしに対して「仕事なんて多少体弱い人って思われた方が楽だよwいつ休んでも怪しまれないじゃん」と言ってきた)くらいであった。


大きな問題はわたし達がそれぞれ入籍したあたりから起き出した。わたし達が正社員になって数年して、わたし達はたまたま(?)同時期に入籍することとなった。


元同僚Mは、正社員になってからスポーツクラブに通うようになり、そこで一目惚れしてきた男と交際を始めた。

相手は2回りも年上でバツありの子あり男であった。子供は幼児で、親権は別れた奥さんが持っており、男は養育費を支払っていた。稼ぎは月20万程度。全て元同僚Mの口から聞いた。

(無理矢理聞き出した訳じゃなく、元同僚Mの方からベラベラ話してくる)


わたしは元同僚Mがその男と付き合いだして話を聞くようになってからずっと「その人大丈夫なの?」と心配していたが、元同僚Mは「へーきへーき!別に結婚とか考えてる訳じゃないしさw」と言っていたので、他人のわたしにアレコレ言われたくないだろうし…と思ってあまり口を出さないことにした。


その男は自分の飼っていた犬が体調不良でも「めんどくさい」と言って病院に連れて行かず、それで悪化し大掛かりな手術が必要になってしまい、その手術費用が高額だったため出し渋り、犬を見殺しにした酒癖の悪い男であった。

わたしから言わせると何ひとつとして良いところがない。

1度わたしも他の同僚も交えてその男に会ったことがあったが、その時もやたら馴れ馴れしくて、2回りも年下のわたし達に対してまるで同世代かのような馴れ馴れしさで接してきてかなり引いた。

それでも元同僚Mは別れなかった。「結婚する訳じゃあるまいしw」といつも言っていた。


ある年の始め、わたしは元同僚Mに結婚する報告をした。わたしにはその時付き合って3年目になる彼氏(黒歴史のあいつではない)がおり、3月に入籍することが決まったので、その時1番仲の良かった元同僚Mにだけ先に報告をしたのだ。

すると元同僚Mはすごく羨ましがって、「私も早く結婚したいな〜」と言った。

わたしは内心、(結婚願望あるのに、あのオジサンとは別れないんだなぁ…)と思った。


そのすぐ後に、元同僚Mから「私も結婚する!」と報告があった。相手はもちろん例のオジサン。入籍日は、わたしの入籍予定日の前週であった。

時系列をまとめると、


1月初め…わたし入籍報告をする

1月中旬…元同僚Mから入籍報告を受ける

3月初め…元同僚M入籍予定日

3月中旬…わたし入籍予定日


となった。

性格の悪いわたしは、内心見下してるわたしに負けたくない元同僚Mが、無理矢理わたしより早く入籍するためにオジサンを説き伏せたのかな〜と思った。


元同僚Mから入籍報告を聞いた時点で、わたしはまだ会社に自分の結婚のことを言ってなかったので、元同僚Mは「だったら一緒のタイミングで報告しようよ!」と言い、わたしは承諾した。


それから数週間経って、仕事中にわたしがトイレに行って戻ってくると、オフィスの方がなんだかザワザワしていた。わたしがオフィスに入ると、女子社員たちがキャッキャしており、「おめでと〜!」という声が聞こえ、その輪の中心には元同僚Mがいた。

そして、トイレから戻ったわたしの姿を発見したみんなはこちらにワッと寄ってきて「プルちゃんもおめでとう!聞いたよ〜!」と言われた。


「あ、やりやがったなコイツ」


と思った。


元同僚Mは、会社への結婚報告は一緒にしようと自分が言ったくせに、わたしが少し席を外した隙を狙ってみんなに勝手に報告したのだ。まだいつ話すかも決めてなかった(元同僚Mが有耶無耶にしてた)のに、自分だけが1番のヒロインになりたかったのだろう。


さらに、わたしは元々ビーチフォトに憧れていて、国内でお金をかけて親戚友人を呼んで挙式披露宴をするよりも、国外のリゾートに近しい親戚だけ呼んでの挙式を考えていた。

なので元同僚Mへの入籍報告の際に「10月頃に◯◯(国外リゾート)で挙式するつもり」と話していたが、元同僚Mは9月に××(わたしの挙式する国よりランクが高いリゾート地w)で海外婚をやると決めたそうだ。

何でもかんでもわたしにかぶせて、しかも先にやるのが好きなんだなぁと思った。


この頃には、表面上は仲は良くしていたけれども、元同僚Mの本心みたいなものに鈍感なわたしも気づいていて、このまま元同僚Mと仲良くしているのは良くないんじゃないかと思っていた。

それが、一連の結婚話で確信に変わった頃だった。


さらに元同僚Mへのわたしの嫌悪感が増大する出来事があった。

部内には、わたしと同年代の女子社員が他に数人いて、みんな新婚であった。つまり、誰が妊娠して仕事を抜けてもおかしくない状況であった。

元同僚Mはすごく痩せていて、普段から生理不順だったらしく、結婚が決まってすぐに婦人科へかかりだした。

そして社内で声高に「やっぱりわたし(子供)出来にくいみたいでぇ…主人も高齢なので早い方が良いと思って、妊活始めることにしましたぁ!」と言い出した。

おそらく、他の新婚社員への牽制である。


これだけでも神経わからんが、わたしが1番ひいたのは、その新婚達の中で1番最初に結婚した子が、結婚後に婦人系の病気が見つかり入院手術をしており、その子は医師より妊娠の確率がかなり低いと言われたそうで、若いのに不妊治療をしていた。不妊治療は会社にも迷惑かかるというので彼女は会社と、同じ部内のわたし達にそれを話してくれていた。

そんな人の前で、「私も妊活しまぁす⭐︎」と言える元同僚Mの神経。わたしは軽蔑した。しかも結婚式前だし。普通結婚式決まってるのにその前に妊活するか???


(不妊治療してた子は病名がついていたが、元同僚Mは病名はついてないし、不妊治療まではしてなかった。どっちが深刻なのかは明らか)


この頃から社内の他の人たちも元同僚Mに対して違和感を覚えていたようだった───。