【業務連絡】

まだ手足口病完治とはなってないのですが、手の方はだいぶ使えるようになりましたのでゆっくりまったり更新再開致します昇天


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派遣先での仕事も慣れてきて、わたし達に振られている「営業事務課の雑用」と「総務Mからの雑用」どちらも易々と終わるようになってしまった。


社員さんに「他に何か手伝えることありますか?」と聞いてみるも、社員さん達は「うーん」と困り顔。というのも、派遣は契約で仕事内容が細かく決められていて、契約にないことを派遣社員にやらせてはいけないことになっている。さらにこの派遣先では派遣社員の契約内容のことで過去に派遣会社と揉めたことがあるとかで、より一層厳しかったようだ。 

なので社員さん達も、頼みたいことがあっても「これやってもらっていいのかな…」みたいな感じで、気軽にわたし達に頼むことができない。


そんなさなか、営業事務課内でAさんの退職と、Bさんの産休が決まった。

派遣先には、大きな得意先がいくつかあって、そのうちA社をAさん、B社をBさんが担当していた。2人は他にも細々した得意先を持っており、それら全てを他の人が引き継がねばならなかった。


それでどの得意先を誰が引き継ぐかという会議が正社員の間で行われた(派遣は不参加)らしく、上司の主任Tより、わたし達へ「これまで雑務だけ担当してもらったが、今後は得意先を持って貰えないか?A社やB社の担当は正社員がやる決まりだが、それ以外の細かい得意先を2人に受け持って貰えると助かる」という打診を受けた。

ちょうど雑務をこなした後は暇になっていたわたし達だったので、その申し出を快諾し、わたし達の雇用契約の業務内容が更新された。色々あって時給も数十円上がった。



この頃にはわたし達は派遣を開始して半年少し経ってただろうか。ある日、社長からお声が掛かった。

社員数50人に満たない中小企業で、オフィスは本社のみ、社長も社員と同じフロアの一角にデスクがあって、週の半分は社内にいた。わたし達派遣にも色々と声をかけてくれる気さくな人柄の人であった。


「社員が新しく入ると、いつも食事に誘って少し話をするのが楽しみなんだが、2人も入ってしばらく経つし、食事に行かないか?」とのことだった。

わたしはこういうの(会社の飲み会とか)大嫌いなので即座に「えーめんどくさ」と思ったが、元同僚Mはニコニコしながら「えー嬉しいですぅ!ぜひぃ!」と答えていた。流れでわたしも行くことになってしまった。社長が去ってから元同僚Mは「社長とご飯とか超だるいんだけど。その時間も時給出ないかなー」と言っていた。二面性があって怖い。


社長は都心のホテルにある高級鉄板焼き屋に連れてってくれた。肉うめー!!と貪り食っていると、社長が「改めて、仕事はどうだい?今度得意先も持ってくれるそうだね」と切り出した。


元同僚Mは普段仕事や派遣先のことボロクソに言ってるくせに、ニコニコしながら「はい、皆さんにも本当良くしてもらってぇ!得意先も持たせてもらえるなんて嬉しいですっ!AさんBさんのA社B社みたいな大きな得意先も、実はやってみたいって思っててェ」と言うので驚いた。


先にも書いたようにA社B社は本当に大口の大お得意様だ。それを担当していたAさんBさんは部内のエース的立ち位置の人達である。いつも電話対応と事務処理と営業からの指示にてんやわんやしているのを見ていたわたしは、とても担当してみたいなんて言えないし、思ったこともない。むしろ絶対やりたくない。


この頃にはわたしもわかっていた。元同僚Mは仕事嫌いだし、こなす仕事も雑だ。そんな大得意先やりたいなんて思うわけがない。だからこれは、社長の機嫌を取るための嘘っぱちなのだ。

どっちにしろA社B社のような超重要得意先は、正社員が受け持つと社内で決まっている。だからこんな嘘っぱち言って大風呂敷広げても、派遣社員であるわたし達にA社B社などという大得意先の仕事は回ってこないのだ。それをわかってて元同僚Mは言っているんだ。


そんなことを思いながら冷めた気持ちで元同僚Mがきゃぴきゃぴ喋るのを横目で見ながら黙々とご飯を胃に詰め込んでいたら、話終わった元同僚Mが「ね、プルさん!」と急に同意を求めてきた。話は聞いてたけど、ちゃんと理解まではしてなかった。

わたしは「え?うんそう…そうですね!」と作り笑いをした。

社長は「そうかそうか、そんな風に思ってくれてるなんて俺も嬉しいよ!今後ともよろしくね!」と満足げにしていた。

なんかよくわかんないけど、まあ社長がご機嫌で良かった。


後編へ、続く───