カズオ・イシグロ氏、『日の名残り』をほぼ読み終えた
カズオ・イシグロ氏、『日の名残り』をほぼ読み終えた。
『わたしを離さないで』は全く頭に入らなかったが、『日の名残り』はすんなりと頭に入る。
これほど違うのはどういうことだろうと、不思議に思う。
ある館の執事が車で旅をしながら、過去の出来事を道中で思い出しながら語る。
旅の途中で起こる出来事も、同時進行的に描かれる。
湿気の多い、英国の空気が感じられる、しっとりとした作品になっている。
当然、日本語の翻訳で読んでいるのだが、日本語だと、丁寧語、尊敬語、謙譲語があるが、英国では明確な、それらの言葉遣いはあるとは思えない。
翻訳者の言葉の選び方によっては、雰囲気の違う作品になる。
実際に執事がどういう言葉遣いをしているのかは原作を読んでみないと分からない。
過去の記憶を辿りながら、物語中で語られるというパターンは、『わたしを離さないで』と、共通する。
イシグロ氏にとっては、過去の記憶はとても大きな意味を持っているように思われる。
この作品は、英国の文学賞の最高峰である、『ブッカー賞』を受賞しているが、たしかに、何がしかの賞を受賞するにふさわしい作品であることには納得できる。
イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞した理由が少し見えてきた。
イシグロ氏の他の作品も読んでみたくなった。