転倒 | 創作ラボ2

転倒

いつも、撮影は、時間に追われている、次の撮影場所に急ぐあまり、足元を確かめなかった。


気持ちばかりが焦っていた。


その場所は足場はあまりよくはなかったのだが、何度もロケしている場所だったから、少し油断があった。


何の前触れもなく、前方に転倒した。


見事に転倒した。


足が何かに引っかかったという感触も何もなかった。


なぜ、転倒したのか分からなかった。


身体が前方に倒れていく時の記憶はほとんどなかった。


一瞬、思ったのは、カメラを壊してはいけないという事だった。


カメラは左手に持っていた。


前方に倒れた身体を右手だけで支えた。


ほとんど、うつ伏せの状態になりながらも、カメラを持った左手は、地面に接触する事はなかった。


倒れた衝撃で、ズボンが破れた。


受身のようにして、身体を支えた右手が痛む。