初めての店
散髪をしようと思って、いつもの理髪店に行くと、なぜか閉まっていた。
そこで、他の、初めての店に入った。
初めての店というのは、不安だ。
その不安は的中した。
店の見た目がかなり古典的だったのだが、店主も古典的だった。
櫛とハサミを持つ手が震えていた。
手の動きが異常に遅い。
この店に入ったのは失敗だったと思ったが、もう遅い。
この震える手で、カミソリを持つのかと思うと、全身が硬直しそうになった。
まるで、テレビで見るコントの場面の中に自分がいるようだった。
心の中では、いくらでも払うから、早く終わってほしいと叫んでいた。