『点と線』を読み終える
松本清張の、『点と線』を読み終えた。
あまり長くなくて、読みやすかった。
もう少し、というか、この二倍程度の長さがあってもいいと思う。
この作品によって、松本清張は、本格的な社会派ミステリー作家として、ブームを起こす。
この作品は、ところどころ、作者が迷いながら書ているような気配が感じられる。
この作品は、雑誌に連載されたのだけど、あまりにも、筆がすすまないので、松本清張は失踪しようと思ったらしい。
その気配を察知した雑誌社が、空港で逃亡寸前の松本清張を捕えることに成功して、逃亡先の現地で原稿を書くことを約束させ、現地では雑誌社の関係者が松本清張を待ち受けていたらしい。
作家の失踪を未然に阻止したという話が小説よりも面白いのではないかと思う。
『点と線』は、アリバイ崩しに何度も壁に突き当たる。
犯罪者と、それを追う刑事の知恵比べのようだが、物語の終盤では、急展開が訪れる。
ミステリーものは、終盤で、いきなり犯人が分かってしまったりする。
そして、その犯人は意外な人物だったりする。
事件の陰に、女あり。
この物語には、長い手紙が登場するが、そういうのは必要ないと思う。
だらだら、長い手紙文を書くのは、作家が展開に迷っている証拠でもある。
作家は、前後のつじつま合わせをするために、物語の終盤では頭を悩ませる。
その結果、裏技を使って、意外な人物を犯人にしてしまう。
ミステリーは必ず理屈に合わない不可解な部分が残る。
この作品にもそういう部分はある。
病弱な夫人が長い旅に出る。
愛人と、正妻が仲良く話しをする。
なぜ、愛人は途中下車したのか。
親しいわけでもない男女がなぜ、同じ列車に乗り込むことになったのか。
謎は残る。