ありえない光景 | 創作ラボ2

ありえない光景

人は、時として、驚くべき力を発揮する。


路肩で停車している車があった。


ボンネットが上がっていた。


何かを点検していたようだった。


そして、点検が終わった。


点検をしていた人物は何を思ったのか、上にあがっていたボンネットを思いっきり下に叩きつけた。


ボンネットは、細くて、短いスチールの棒状のようなもので支えられている。


通常は、そのスチールのつっかえ棒を元の位置に戻してから、ボンネットを静かに下におろす。


しかし、その人物は、その単純な作業を省いてしまったのだ。


その結果、スチールのつっかえ棒は、曲がり、つっかえ棒で支えられていたボンネットが内側から外側にむかって、膨れ上がってしまった。


その行為には、大いに驚いた。


ありえない、光景だった。


もっと、ありえないのは、スチールのつっかえ棒と、ボンネットを曲げてしまったのが七十歳を越えた老人だったことだ。