『アフターダーク』は『1Q84』とリンクしているのか
村上春樹の、『アフターダーク』を読んでみた。
すでに読んでいるはずだけど、内容は完全に忘れていた。
『アフターダーク』が、『1Q84』にリンクしているのかと思ったのだが、全くそういう気配は感じられない。
おそらく、これまで、村上春樹の作品を読み続けてきた読者にとっては、この作品は異質だろうと思う。
作家が実験的なことをしているのは分かるのだが、物語は空中でホバリングしていて、どこにも着地はしない。
そういう終わり方は、村上春樹の作品では珍しくはないのだが、何かを求めて読んだ読者の多くはがっかりするだろうと思う。
全般に評判がよくない作品だけど、会話が多くて、割合と、リアリティがあって、読みやすい。
しかし、読みやすいだけで読後に何も残らない。
『アフターダーク』があまり評価されなかったことを踏まえて、『1Q84』を書いたのだろうかとも思われる。
たとえば、『アフターダーク』に書かれている題材の一部をうまくまとめて、原稿用紙200枚程度に、新人が書いたとする。
夜の世界の、ラブホテルの従業員、そこを利用する客と、不合法な商売をする外国人、などの話をリアルに書けば、芥川賞候補になるかも知れない。
村上春樹は芥川賞を受賞できなかったことをどう思っているのだろうか。
というより、村上春樹に芥川賞を与えなかった、選考委員はどう思っているのだろうか。
もし、村上春樹が芥川賞を受賞していたら、『1Q84』を書いていただろうかと、考えてみたりもする。
芥川賞作家だからといって、へんに保守的な、純文学路線の作品を書いていただろうか。
『アフターダーク』は実験的な作品だろうけど、その実験がうまくいったと、村上春樹本人思っているのだろうか。
そんなことより、30年の作家生活の中で、村上春樹の長編作品は少ないように思える。
あと何年、村上春樹が作家として精力的に活動できるのかは分からないけれど、あと、何作の長編作品を残せるだろうか。