青い手紙 23
いつものように、私はオフィスのソファに腰を掛けてぼんやりと天井をながめながら考えていた。病死であれ、他殺であれ、畠山義男が死亡することによって、利益を得る者は誰なのか考えてみた。
法定相続人が、単純に畠山義男の財産を相続することによって、利益を得ると考えると、実子の畠山修二と畠山純一の長男が利益を得ることになる。相続権のない畠山純一は何も利益を得ることはない。
しかし遺言があれば、それが有効なものなら、それが優先される。畠山義男は何も遺言を残さなかったのだろうか。
一代で大企業を築いた人物だ。その企業の将来を考えて、遺言を残すはずだろう。とすると、私のオフィスのデスクの引出しの中に入っている青い封筒が重要な意味を持つことになる。私が不用意に封筒の中身を見てしまうと、その中身に書かれてあることは無効になるかも知れない。
畠山義男の死が他殺だとして、殺人者は、青い封筒に入っている手紙を第三者が発見するものと思っていた。第三者とは、私だ。ところが、私は青い封筒は発見したのだが、それを持ち去ってしまった。殺人者にとっては予想外の事が起こった。殺人者は私が青い封筒を持ち去るとは思っていなかった。青い封筒の事は殺人者と私以外には知らない。
青い封筒の中の手紙が永遠に闇に葬られることを殺人者は黙って見ているはずがない。私が青い手紙を持っていることを殺人者は知っているはずだ。ならば、殺人者は私に接触してくるはずだ。
その通り、殺人者はすでに私に接触している。もっと早くに、私は気付くべきだった。