前兆 | 創作ラボ2

前兆

何かいつもと違うことが起こる場合は、前兆がある。


朝、カメラの三脚を車から取り出す時に、落下させてしまった。


雲台の角と、水平方向のパン棒に傷がついた。


長く使ってきたものに、ほんの少しではあるが傷がつくと、とても気分が悪い。


物は買った時のままの状態で使い続けたい。


十年以上使っているものが、不注意とはいえ、傷つくということは、縁起が良くない、何かの不吉な前兆だろうと思った。


それは、当たったというべきだろう。


お昼頃に、携帯電話が行方不明になった。


どこかで落としたのだと思った。



たぶん、車の中だろうと、思って、車の中を探した。


しかし、見つからなかった。


探し物は必死になって探している時には、なぜか見つからない。


お昼前に携帯電話を一度使っているから、使った場所に戻ってみた。


やはり、ない。


可能性としては、車の中がもっとも高い。


なぜなら、車の外から、運転席に上半身を入れた状態で電話していたからだ。


車の中は一度調べたはずなのに、その時は見つからなかった。


固定電話から、携帯に電話をかけた状態のまま、車に向かった。


車のドアを開けると、携帯電話のベルの音が聞こえた。


不思議な感じがした。


一度調べたはずなのに。その時は、見つからなかった。なぜ、携帯電話のベルの音が聞こえるのか。


携帯電話は意外なところに挟まっていた。


なぜ、そんな隙間に、うまく挟まるのか納得がいかなかった。


運転席の左側のサイドブレーキと座席の間に、携帯電話はまるで身をひそめるように、立った状態で、ぴたりと運転席の左サイドに貼りついていた。


なんで、そんなにうまい具合にピタッと座席に貼りついていたのかは分からない。


いろんなところに、隙間がある。


隙間に入り込んでしまうと、なかなか見つからない。