青い手紙 5
ドアに貼られた小さなプラスチックのプレートには、『畠山義男』と書かれてあった。私は、ドアの右手の壁に、申し訳なさそうに取り付けてある呼び鈴のボタンを押した。
そのまま、三秒待った。中からは、何も返事らしき声は聞こえなかった。もう一度、呼び鈴のボタンを押した。今度は五秒待った。やはり、何の声らしきものも聞こえなかった。
呼び鈴が、その機能をきちんと果たしていないのかも知れない。ドアの内側からは、呼び鈴の音がしたかどうかも判断できなかった。
今度は、ドアを二度、軽くノックした。また、五秒待った。何も音は聞こえなかった。再び、同じようにドアをノックした。結果は同じだった。
留守なのだろうか。いや、そんなはずはない。私が訪ねて来ることは、電話で伝えておいたから、留守のはずはない。
仕方がないから、私はドアのノブに右手をかけて左側に回してみた。ドアのノブは全く動かなかった。今度は、右方向に回してみた。ドアのノブは何の抵抗もなく、素直に、右方向に回った。私は、ゆっくりと、ドアを外側に開けた。