大いなる眠り レイモンド・チャンドラー | 創作ラボ2

大いなる眠り レイモンド・チャンドラー



創作ラボ2-大いなる眠り


やっと、レイモンド・チャンドラーの、『大いなる眠り』を読み終えました。


この作品はチャンドラーの最初の長編小説です。


これまでの謎解きを中心とした、推理小説とは趣を異にした、探偵が、リアリティのある世界で行動するという、いわゆる、ハードボイルドとしての探偵小説を正統に進展させたのがチャンドラーのこの作品だろうと思われます。


この作品から、名探偵、フィリップ・マーロウが登場するわけです。マーロウは三十三歳という年齢で、背が高くて、ハンサムという設定です。


文庫本の表紙のマーロウは、映画で主演した、ハンフリー・ボガードだと思われます。


翻訳された時代が今から五十年も前なので、言葉遣いとか、言葉そのもの、言い回しなどが分からない部分があります。


たとえば、何度も、『モーター』という言葉が出てきます。


モーターとは、回転する機械のことではあるのですが、この作品のなかでは、どうも自動車のエンジンの意味で使っているようです。バイクのことをモータという、古い人もいるようです。


バイクとは、オートバイのことですが、英語では、モーターサイクルと言います。免許には、自動二輪と記載されています。モーターとは、発動機のことで、サイクルとは、回るということですから、発動機によって、自動で回る車輪という意味になると思います。


オートバイは、『オートバイスクール』の略だと思われます。つまり、自動自転車ということです。モーターサイクルをそのまま日本語にすると、発動機つき自転車、あるいは、原動機付き自転車ということになるだろうと思われます。


モーターのことにしても現代からすると意味不明の言葉があったりするので、注釈をつけるなどするか、翻訳をし直すことも必要だろうと思います。たとえば、村上春樹氏に記念すべき、チャンドラーの長編の第一作目の作品を翻訳してほしいものです。


ハードボイルド風に訳そうとするあまりに、作品中の会話の言い回しが理解できないい部分があります。


訳者の、双葉十三郎氏は日本の映画界にいた方ですから、五十年前の映画界で使われていた、はやり言葉とか、フレーズを使って訳していたのだと思われます。そのために、意味不明な部分があります。訳者は五十年後も読まれるということは想定していたでしょうか。


この作品の翻訳の賞味期限は切れています。新訳をするべきだと思います。


チャンドラーの最初の長編作品ということで、『ロング・グッド・バイ』のような文芸的味わいは、まだ強烈には感じられないのですが、やはり、情景描写と人物描写は細かいと思います。


マーロウが、ハードボイルド風に、威勢のいいキャラクターに描かれているのですが、いくら、三十三歳のマーロウであっても、威勢がよすぎて、台詞がやすっぽく思える部分があるのは、翻訳者の考えるマーロウ像なで、読者としては、これはマーロウではないと思いつつも、納得しながら読むしかないわけです。


見た目は、ハードボイルでも、心はやさしいマーロウは、スターンウッド家の姉娘の夫を殺害したのが、妹のカーメン・スタンウッドだと分かっても、そのことは警察には連絡はしない。このマーロウのキャラクターに読者はひかれていくのだと思います。


マーロウとダーティハリーと比べてはてけないと思うのですが、こういうところの結末は、なんとなく、ダーティハリーを思い出します。


チャンドラーの長編はあと二冊読んでいないものがあるので、つづけて、残りの二冊を読みます。


次は、『湖中の女』を読みます。