『高い窓』 チャンドラー
今年は、チャンドラー没後50年ということで、チャンドラーを読んでいます。
チャンドラーは長編を7作品書いているのですが、7冊とも所有しています。
『長いお別れ』、『さらば愛しき女よ』は、村上春樹の新訳で読んでいて、『かわいい女』もすでに読んだので、これで、長編は4冊目ということになります。あと3冊も読んでみたいと思います。
短編集も4冊、本棚の中にあるので、それらも、読むのだと宣言しておきます。
チャンドラーの作品は、個人的には、一度読んだけでは、話のからくりを、すきっと理解することが少々、困難なのですが、『高い窓』は比較的、話のからくりは理解できたように思います。
チャンドラーのストーリーの展開の仕方に少し慣れたので、いささかなりとも、理解しやすかったのかも知れないのですが、とにかく、チャンドラーの作品は、一筋縄ではいかないということでしよう。
いつものように、情景描写と、人物の描写は細かい。
何かの写真でも見て描写しているようです。
アパート、あるいは、部屋から出て、まだ戻るというパターンが何度かある。これが、一つの、チャンドラーの小説作法なのだろうか。
1枚の希少価値のある金貨が盗まれて、売りに出されているので、それを取り戻してほしいという富豪の未亡人の依頼から物語は展開していき、マーロウの行くところには死体が転がる。
物語の中の対話は、意味が分からないものがあったり、人物、情景描写は細かすぎるし、もう少し、そういうものを省けば、物語はすっきりするようにも思えます。
マーロウは、ただのタフガイではなく、情に厚く、真実を知りながら、警察には報告をしない。
その結果、殺人が自殺になり、他殺が事故死になる。
高い窓から、男を落としたのは、意外な人物であり、その動機も、意外なものだった。フィリップ・マーロウだけが真実を知り、警察は、少しおかしなこともあると思いつつつも、常識的に妥当なとろに、事件を落ち着かせる。
情に厚いマーロウによって、ある種の勧善懲悪的ハッピーエンドを迎える。
情に厚く、皮肉屋で、哀愁ただよう、タフガイのフィリップ・マーロウに読者は魅せられていく。
