かわいい女 チャンドラー | 創作ラボ2

かわいい女 チャンドラー

レイモンド・チャンドラーの、『かわいい女』を読みました。


けっこう複雑なストーリ展開でした。


登場人物が多いと、この人は何者だったのか分からなくなってしまって、最初のページに書いてある登場人物のリストを何度も読み返してしまいます。


フィリップ・マーローの向うところには、偶然しても、都合よく死体が転がっている。そんなに、うまい具合に死体が転がるはずはないのですが、探偵小説というのはそういう蓋然性の確率を無視して物語は展開していくものです。その蓋然性がかおしいと言ってしまうと、探偵小説にはなりません。


事件は、割合と、短い時間の間に起こります。


事件の裏には、女ありということで、殺人犯は、ある女だったということで、事件は解決しているようにも思うのですが、もう一度読み返さないと、どうにもすっきりはしません。


チャンドラーが真犯人の姿をわざとぼかしているいるようにも思えます。


この作品は、チャンドラーの長編小説としては、最後から二番目に書かれたものです。1949年ころに書かれています。


その後は、まるで自分の死を暗示するように、最後の長編の『長いお別れ』を書いてから、5年後に死亡しています。


『かわいい女』を書いていた頃には、チャンドラーはハリウッドで映画の仕事に関わっていたので、ハリウッドの映画界の様子などもこの小説には描かれています。


フィリップ・マーローは30代という年齢設定で、いい男で、もてるのですが、ただのタフガイではなくて、情にもろいところもあります。


探偵小説、あるいは、推理小説は、文芸作品とは距離のあるジャンルなのですが、チャンドラーは、探偵小説を文芸作品の位置に押し上げようと試みているように思えます。


あいかわらず、たいへん情景描写は細かく、まるで、その光景をチャンドラーは目の前に見ているかのようです。


社会批判をするような文章も所々で見られます。警察官には、警察官の哀愁というものを語らせます。


探偵小説という形をとりながら、文芸作品に昇華させるような小説を読んでみたいし、書いてみたい。


また、チャンドラーの作品を読みます。