しっくりと身体に馴染む
探偵小説など書いたこともないので、どういう展開にしていけばいいのか分からない。
そこで、探偵小説を読んでみる。
何人かの作家の短編が一つの本になっているアンソロジーの文庫本を本棚から引っ張り出して読んでみた。
だが、どうもしっくりこない。
目は活字を追うのだが、途中であきらめてしまう。
目的地にたどり着くまでに、途中下車してしまうようなものだ。
そこで、レイモンド・チャンドラーの、『かわいい女』の文庫本を読み始める。
すると、まるで、馴染みの店に来たように、あるいは長年愛用しているレザーコートを着たように、しっくりと身体に馴染む。
お気に入りの作家というのはそういうものだ。