風速30メートル
乗客、乗員、合わせて49名を乗せたプロペラエンジンの旅客機がやや強い向かい風を受けながらも空港を離陸した。
プロペラ機ながら、エンジンパワーは充分だった。力強いトルクで飛行機は風に向かって上昇していった。
やがて飛行機は水平飛行に移った。しかし、気流がよくないため、時折、飛行機は小刻みに揺れていた。
目的地の天候は曇りで、飛行時間は40分ほどだった。
この路線はビジネスに利用する客が多かった。多くの乗客は何度もこの路線を利用していたから、いつものように、リラックスして雑誌を読んだり、新聞を読んだり、文庫本のページを開いたりしていた。
客室アテンダントが乗客の一人一人に飲み物を配り終え、しばらくすると飛行機はゆるやかに降下を始めた。
ベルト着用のサインのランプがついて、「飛行機は着陸態勢に入りました。飛行機が少し揺れていますが飛行には支障はございません。ベルトを今一度お締めおきください」と、客室アテンダントのアナウンスがあった。
飛行機の前方には目的地の空港の滑走路が見てきた。
いつものように飛行機は高度を下げて、滑走路への進入のコースを取った。微妙に左右に揺れる機体を制御しながら、飛行機は、失速寸前まで速度を落として、やや機首を上げた。タッチダウンまであと数秒だった。
その時、突然、飛行機の左側から突風が吹いた。飛行機は右方向に流されると同時に水平バランスを崩して、右側の主翼が地面に接触した。
飛行機の右側の主翼は折れ、右方向に回転しながら胴体が滑走路に接触すると同時に巨大な炎に包まれた。
乗客、乗員、49名のうち、助かったのは8名だけだった。
のちに、突風の原因が局地的なダウンバーストであることが分かった。
瞬間的に、風速30メール/秒の突風が吹いた。