ルナティック | 創作ラボ2

ルナティック


創作ラボ2-満月



夜中にふと、おにぎりが食べたくなった彼女は、近くのコンビニまで買いに行こうと思った。


真夜中を少し過ぎていたけど、歩く距離はそんなに長くはないから、たいして危険だとは彼女は思っていなかった。


空を見上げると、満月が出ていた。完全に丸い月だった。


コンビニに着くと、彼女はおにぎりを一個と、500ml入りの烏龍茶も買った。深夜だというのにコンビ二のまわりには何人か人がいた。


彼女は、彼らをちらっと横目で見てから、家路へと向かった。


コンビニから、彼女のアパートまでは徒歩で10分もかからなかった。彼女は少し速足で歩いた。


彼女は前方を見ながらも、背後に神経を集中していた。誰かが背後から近づいてこないか警戒していた。街灯がついているから、通りはあまり暗くはないのだが、それでも街灯がない場所では暗くなる。


アパートまで、あとほんの少しのところで、彼女の右側の露地から何かが飛び出してきた。


彼女は背後には気をつけていたのだが、横から何かが飛び出すとは全く考えていなかった。完全に不意を突かれた。


「あっ」と、彼女は小さく声に出しながら左側に身をよけたが、間に合わなかった。


彼女の身体は、何ものかによて押し倒された。


彼女は自分の上にのしかかっている何ものかの顔を見た。暗さのためにはっきりとは分からなかったが、それは人間の顔のようには思えなかった。


彼女は、恐怖のため全身がコンクリートで固められたように動けなかった。


「うぉーーーーー」何ものかは唸り声のようなもの発しながら、彼女が片手に持っていたビニール袋の中に顔を入れて、おにぎりを食べようとしていた。


彼女は訳が分からなかった。おにぎりがほしいのなら、手で取ればいいのに、どうして、口で直接食べようとしているのか理解できなかった。


何ものかはおにぎりを食べ終えると、満足したのか、走り去った。


彼女の全身が恐怖から解放されて、動けるようになるまで少し時間がかかった。


彼女は呼吸を整えて立ち上がった。そして、夜空を見上げた。満月が煌々と輝いていた。


満月だから、あんなおかしな奴が現れるんだと彼女は思った。


「あいつは、ルナティック」と、彼女はつぶやいた。