終の住処を読んでみた
芥川賞受賞作の『終の住処』を読んでみた。
あまり長くない作品で、日本語としの文法は間違っているようなところもあまりなく、文章そのものは読みやすいけど、段落が少ないので、だらだらと活字が続く印象がある。
簡単な漢字で表記できる言葉をなぜひらがなにしているのか納得できない。たとえば、『じしん』(自身)とか、『じっさい』(実際)など。
この作品は純文学として読むと、疑問に思うことばかりだけど、ひとつの『ギャグ』とか、『ネタ』として読むと、『つっこみ』どころ満載で面白いかもしれない。
指がスカートの端に触れただけで、浮気をしてしまう。
「それはないやろ」と、読者はつっこみを入れてしまう。
電車で理想の女性を見つけて、後をついていくと、その女性が部屋に招き入れてくれて、浮気相手になってしまう。
「ほんまかいな」と、また、読者はつっこみを入れてしまう。
妻と11年間口をきかないなんてことは、現実に起こるはずもなく、
「とっとと、離婚するやろ」と、つっこみを入れる。
次から次へと、8人もの浮気相手が現れる。
「どんな、男前やねん」と、つっこみを入れる。
家の設計士は、どらえもんのように屋根の上まで手が伸びる。
「ありえへん。どんだけ、手長いねん」と、つっこみを入れる。
登場人物のキャラクターがあまりうまく描かれていなくて、彼という人物を中心にした、いわゆる、“私小説”の類だろうと思われる。
小説全般に現実感が乏しくて、ひょっとして、彼は、精神的な病気なのではないかとも思われる。
この物語は、彼がどこかの公園のベンチに座って、空想している物語かもしれないし、アパートの部屋で昼寝をしていた時に見た夢なのかもしれない。
最初から、そういう設定の物語だと思って読めば、読者の感情は高ぶることはないと思うけど、芥川賞というこの小説に、何かの暗示とか、啓示のようなものを求めたとしたら、本のページの1枚1枚を丁寧に破り取って、細かく刻んで燃やしたくなることは間違いない。