「もう12時近いな。
すまない。
つい夢中になって話し過ぎた。まだ傷が治っていない君に無理をさせてしまった。
部屋に戻ってゆっくり休みなさい」
2人は時を忘れて語り合っていた。
元々、木次のファンだという安西はこうしたエンターテイメント関係の分野にも深い関心を持っていた。
ただそれ以上に野球の才能に恵まれていたからプロ野球選手として開花していったのだ。
気がつけば、夜はすっかり更けていた。
「判りました。今日は本当にありがとうございました。
お休みなさい」「ああ、お休み」
つくづく美しいと伏し目がちに自分に一礼する彼の横顔を眺めて漣は思った。その艶かしさが漣の本能を沸き立たせた。
彼は、立ち去ろうとする安西を背後から抱きすくめた。
有沢を叩きのめし、猛り狂っていた安西とはまるで別人の静かな表情の彼は抗わなかった。
そのまま抱き締めていると、抑えきれない激情に漣は駆られた。
半ば強引に自分の側に振り向かせると、唇を重ね合わせた。
(あっ!)
と声にならない声を安西が洩らしたように漣には思えた。

つづく一

この物語はフィクションです。