漣の箱根の別荘は、そのまま高級旅館としても通用するような豪奢な日本建築だった。
それでいて内部は西洋式な造りだった。
漣は安西を一番豪華なゲストルームに招き入れた。
窓からは、中庭が眺められた。一番大切な客のみがこの部屋の主となれた。
安西は子供のような好奇心に満ち溢れた目で別荘内部を眺めた。
改めて漣の力を感じずにはいられなかった。
田園調布で漣の身の回りの世話をしている年配の女性が落ち着いた和服姿で2人を迎え入れてくれた。
漣家の養子になった彼をずっと面倒みてくれた女性で、名前は中島絹という。漣は親しみを込めて昔から絹やと呼んでいた。「急な事なのでこの部屋を用意したが、もし和室が良いならそうするがね」
「こんな立派な部屋を用意してくださったのに勿論、僕はこちらで構いません」
安西は20畳もある洋間が一目で気に入った。「昼食は、近くの行きつけのレストランで食べよう。
夕食は私のお抱えの板前が腕を奮ってくれる。楽しみにしてくれ」
漣はすっかり寛いだ様子で安西に微笑みかけた。

つづく

この物語はフィクションです。