漣は病院を出て安西の待つロールスロイスに乗り込んだ。
「箱根へやってくれ。
宮の下の私の別荘にな」
そう運転手に命じるのを聞いて安西は彼に尋ねた。
「漣さん、お仕事は?」
「一足先に日下をアメリカに行かせた。
私も後から行く予定だ。
今日は今後について君と語りあいたい。
いいだろう?」安西は黙って頷いた。
「別荘に着くまで大分ある。
ゆっくり休んでいなさい」
安西は暫く外の景色を眺めていたが、やがて漣の胸に体を預けて眠ってしまった。
その体の重さが漣には心地良かった。
自分の全てをかけてこの若者を包んでやろうと彼は真剣に考えていた。

つづく

この物語はフィクションです。