「いかん!
すぐに医者に見せなければ。
日下、私の主治医の近藤さんにすぐ連絡を取ってくれ」
「判りました」日下はすぐに携帯を取り出した。
2時間後、レミは自宅マンションに帰りマネージャーが介抱していた。
安西は漣のマンションのゲストルームのベッドに横たわっていた。
有沢とその手下は近藤医師が経営する病院に直行させられた。手下は大した事はなかったが有沢は全身打撲、左大腿骨骨折等で全治2ヵ月を宣告された。
「すごい男だ。彼は一」
日下は秘かに舌を巻いた。
以前に威しをかけた時の事を思い浮かべた。
あの時は安西の説得に心をうたれ、暴力沙汰にはならなかった。
もしやりあったら、サンドバッグにされていたのは自分の方だった一日下は背筋に寒気を覚えた。
「もう大丈夫です。
吉本さんは精神的なショックだけでしたし、安西さんは胸と頬に浅い傷があるだけです。
ただ、異常に興奮状態にありますので手当ての他に鎮静剤を射っておきました。
それにしても、一体何があったのですか?」
50過ぎの温厚な顔立ちの医師は漣に問いかけた。
漣はちょっとした行き違いによる事故だと説明した。
医師は納得しかねていたが、長年のよしみで深く追及しなかった。
有沢はいくら重傷を負わされても、自分のした事を考えれば口をつぐむしかないだろう。
何より漣は安西の為に警察沙汰になるのを怖れた。

つづく一

この物語はフィクションです。