「もう一度言うぜ。
この娘と寝るんだ。
今すぐにな。
そうしなければ2度と野球の出来ない体にしてやる」
「やるならやれ!
その代わり、その子には手を出すな!」
「いい度胸だ。優男のくせによく言うぜ」
有沢は乱暴に安西のジャケットを剥ぐと、ナイフでシャツと下着を切り裂いた。
露になった上半身を見て、有沢はヒュウと口笛を吹いた。
「立派なガタイをしているじゃないか。さすがはプロ野球選手だな」
鍛えあげられた大胸筋を見て有沢は心底驚いて言った。
「まあ、その強がりがいつまで続くのか確かめてみるのも悪くない」
有沢はナイフの切っ先を安西の左胸にあてるとゆっくりと横に走らせた。
滑らかな肌に血の線が滲み出た。
安西は苦痛に顔をしかめたが、歯をくいしばって耐えて呻き声一つあげなかった。
「やめてーっ」レミは半狂乱になって泣きながら絶叫した。
有沢はナイフの切っ先を変えて今度は右胸にも走らせたが、安西は微動だにせず真っ向から有沢を睨み付けた。
「本当にいい度胸をしているじゃねえか。
それじゃあ今度はその面(つら)に細工させてもらおうか」
彼は血の滲んだナイフを安西の頬にあてがった。
「恨むなら、漣を恨むんだな。あいつがお前にちょっかいを出さなければ、お前はこんな目にあわずに済んだんだ。
あの野郎、散々俺をコケにしやがって!
一あいつの苦しむ顔が目に浮かぶぜ。
一番のお気に入りの顔がズタズタに引き裂かれるんだからな」あてがったナイフを頬に突き刺そうとした刹那一

つづく一

この物語はフィクションです。