関内にあるマンションの地下駐車場に愛車を止めると彼は車から降り立った。その時、後ろからワッと背中を押されて安西は心臓が縮みあがった。
驚いて振り向くとそこには吉本レミが立っていた。
栗毛色に染めた髪をカールにして肩までたらし水色のシルクのワンピースの上にシルバーフォックスのハーフコートを羽織ったその姿はとても15歳には見えなかった。
「レミちゃん、どうしたんだ?こんな所にマネージャーさんも付けないで」
レミはそれには答えず、頬を膨らませて言った。
「安西さん、ひどいわ。
あたし、ずっと待っていたのに」
「え、何のこと?」
安西には本当に何の事だかまるで判らなかった。
「だって、ほらこれ」
レミは白い封筒に入った手紙を差し出した。
安西はそれを読んで顔色を変えた。
[親愛なるレミ様一]
という書き出しでレミへの美辞麗句が書かれていて最後にこう締め括られていた。
安西はその部分を読みあげた。「今日の午後5時に、僕のマンションの地下駐車場で待っていて一って。
何だい、これは?
僕はこんな手紙を出した覚えはないよ」
その手紙には、ご丁寧に住所まで記されていた。
元々浜っ子で、横浜に詳しいレミだからこのマンションも容易に捜しあてたのだろう。

つづく一

この物語はフィクションです。