そんな思いを抱き続けていた彼の目の前に現れたのが安西貴之だった。
体格や顔立ちがどことなく自分に似てさえいる若者一。
10年前に自分が望んでも得られなかった漣の寵愛を一身に受けている男。
彼に芸能界入りを熱心に勧められていると噂されている一。
一流のプロ野球選手という確固たる地位とは別に写真集やCM出演でタレントとしての人気も獲得している。あいつとかつての俺とどこが違うというのだ。何故あの男は、漣や多くの人々を惹き付けるのだ一。
理由は一判っていた。
あの漣文庫創立50周年記念パーティーで、初めて安西の姿を見た時に一
有沢は一瞬、電撃に似たものを感じた。
『華』というものは、こういうオーラなのかと有沢は痛感した。
その場に佇んでいるだけで、周囲の人間を惹き付けてしまう生まれながらの資質一。
自分には彼の万分の一も『華』は無いと認めざるを得なかった。
だからこそ、
赦せない一。
その思いが理不尽極まりないと充分知りながら今の有沢にとって彼は漣と共に恨みの対象になっていた。
奴を苦しめる事が、そのまま漣を悩ませるならまさに一石二鳥ではないか。
傷つけてやる。いたぶって、辱しめてやる一。有沢にとって吉本レミなどほんの付け足しに過ぎなかった。

つづく一

この物語はフィクションです。