弓子に言われるまでもなく、確かにそうした気持ちが心の奥底にくすぶっているのは誰よりも有沢自身が知っていた。
弓子とつるんでいる事がその歪んだ思いの発露に違いなかった。
10年前に漣に詰め寄った時、漣は有沢にこう告げた。
『君には、華が無い。
確かに演技も容姿も優れているのは認めよう。だが、私の求めているのは無条件で人を惹き付けてやまない華を持ったアクターなのだ』
既にテレビ界では、二枚目スターとして売れていた有沢にとってその言葉は全てを瓦解させてしまう死の宣告に等しかった。まだ駆け出しのプロデューサーとはいえ、実績を積み上げつつあった彼に突き放されてから有沢の俳優としての歯車も狂い出した。
『君には、華が無い』
絶えず呪詛の如く彼を苛んだその言葉一。
己れの存在価値を崩壊された彼は私生活が荒れた。
やがてお定まりのスキャンダル一。
大物女優との不倫発覚一。
彼女の夫である世界的にも著名な監督の逆鱗に触れ、彼は仕事を干された。
有沢は登り詰めるのも早いが堕ちて行くのもまた早い一アイドルの様にスターの座から転げ落ちて行った。
しかし、彼は潮書房の御曹司というバックがあった。
暫くは、潮書房の専務という肩書きを得て後に俳優としても復活を遂げた。
現在も刑事ドラマのレギュラーや2時間スペシャルの準主役等を小器用にこなしていた。
しかし、そんな道を有沢は望んではいなかった。
彼は、日下勇馬の様な大作映画の主役を張りたかったのだ。
自分にはその資質があると信じていた。
その自分の夢を遮ったのは漣だと有沢は決めつけていた。
たとえ、心の奥底で惹かれていようと漣への復讐が彼にとって何よりしなければならないことだった。
つづく一
この物語はフィクションです。
弓子とつるんでいる事がその歪んだ思いの発露に違いなかった。
10年前に漣に詰め寄った時、漣は有沢にこう告げた。
『君には、華が無い。
確かに演技も容姿も優れているのは認めよう。だが、私の求めているのは無条件で人を惹き付けてやまない華を持ったアクターなのだ』
既にテレビ界では、二枚目スターとして売れていた有沢にとってその言葉は全てを瓦解させてしまう死の宣告に等しかった。まだ駆け出しのプロデューサーとはいえ、実績を積み上げつつあった彼に突き放されてから有沢の俳優としての歯車も狂い出した。
『君には、華が無い』
絶えず呪詛の如く彼を苛んだその言葉一。
己れの存在価値を崩壊された彼は私生活が荒れた。
やがてお定まりのスキャンダル一。
大物女優との不倫発覚一。
彼女の夫である世界的にも著名な監督の逆鱗に触れ、彼は仕事を干された。
有沢は登り詰めるのも早いが堕ちて行くのもまた早い一アイドルの様にスターの座から転げ落ちて行った。
しかし、彼は潮書房の御曹司というバックがあった。
暫くは、潮書房の専務という肩書きを得て後に俳優としても復活を遂げた。
現在も刑事ドラマのレギュラーや2時間スペシャルの準主役等を小器用にこなしていた。
しかし、そんな道を有沢は望んではいなかった。
彼は、日下勇馬の様な大作映画の主役を張りたかったのだ。
自分にはその資質があると信じていた。
その自分の夢を遮ったのは漣だと有沢は決めつけていた。
たとえ、心の奥底で惹かれていようと漣への復讐が彼にとって何よりしなければならないことだった。
つづく一
この物語はフィクションです。