有沢はうっとりと自分の企てた策略に酔っていた。
漣事務所のニューフェイス、
吉本レミとプロ野球のスター、安西貴之の大スキャンダル一。漣の喜ぶ(あくまで皮肉な意味で)顔が目に浮かぶ一。
やっと長年の恨みを晴らす時が来た。

帰り仕度を終えた弓子は、行き掛けの駄賃のように有沢のワインセラーから最高級ワインを持ち出して一杯やっていた。
まだローブ姿の有沢を見つめてお得意の毒を吐いた。
「ねえ、あなた本当は一」
グラスを置いて有沢を見つめる一。
「漣に惚れているんじゃない?
どうやっても相手にされなかったから、可愛さ余って憎さ百倍ってやつなんじゃないの?」
「うるせえ!」有沢は乱暴に弓子の頬を平手打ちにした。
「あれこれ、俺を詮索するんじゃねえ!
誰が、誰があんな野郎—」
「何するのよ!」
弓子は頬を押さえて、有沢を睨み付けた。だがさしてダメージを受けた風でもなくそのままマンションを出ていった。

つづく一

この物語はフィクションです。