安西はそれには答えず、
「今更、佐伯さんとの約束を破って僕だけ行く訳にはいきません」
と言った。
「良かったら、彼も連れていっていいんだ。
それなら一」
しかし、安西は重ねて首を振った。
「彼はあまり人付き合いのいい人間ではありません。
そうした場所に行きたがらないんです。
すいません。
お気持ちはありがたいのですが僕はご一緒出来ません」
「折角、君とクルージングが出来ると思ったのに一。
なあ、思い直してくれないか。佐伯君には1人で自主トレーニングしてもらうとか。
私は、その後スケジュールが押しているし君もキャンプが始まるだろう。
そうしたらしばらく会えなくなるんだ一」
漣は何とかして安西の決意を変えようと試みたが、安西は頑として受け入れなかった。
「そうか一。
君はやはり野球人だな。
私よりそちらを取る訳だ」
極めて当たり前の事なのに、漣は自らの苛立ちを隠せなかった。
「漣さん、どうか気を悪くしないでください」「好きにしたまえ!
私に君を引き留める権利などありはしないのだから!」
漣はそう言うとレストランを出て行った。
後に残された安西は彼を追わなかった。
ただその横顔はひどく悲しげだった。
それから漣は彼とは一切連絡を取らず、暮れにハワイへと旅立った。
安西もそれからは自主トレに明け暮れた。
そうやってその年は暮れていった。
つづく一
この物語はフィクションです。
「今更、佐伯さんとの約束を破って僕だけ行く訳にはいきません」
と言った。
「良かったら、彼も連れていっていいんだ。
それなら一」
しかし、安西は重ねて首を振った。
「彼はあまり人付き合いのいい人間ではありません。
そうした場所に行きたがらないんです。
すいません。
お気持ちはありがたいのですが僕はご一緒出来ません」
「折角、君とクルージングが出来ると思ったのに一。
なあ、思い直してくれないか。佐伯君には1人で自主トレーニングしてもらうとか。
私は、その後スケジュールが押しているし君もキャンプが始まるだろう。
そうしたらしばらく会えなくなるんだ一」
漣は何とかして安西の決意を変えようと試みたが、安西は頑として受け入れなかった。
「そうか一。
君はやはり野球人だな。
私よりそちらを取る訳だ」
極めて当たり前の事なのに、漣は自らの苛立ちを隠せなかった。
「漣さん、どうか気を悪くしないでください」「好きにしたまえ!
私に君を引き留める権利などありはしないのだから!」
漣はそう言うとレストランを出て行った。
後に残された安西は彼を追わなかった。
ただその横顔はひどく悲しげだった。
それから漣は彼とは一切連絡を取らず、暮れにハワイへと旅立った。
安西もそれからは自主トレに明け暮れた。
そうやってその年は暮れていった。
つづく一
この物語はフィクションです。