その年、安西は18勝5敗で両リーグを通じて最多勝投手になった。
漣としても、まさか最多勝投手に映画界入りを薦める訳にもいかず、これで彼との接触は不可能だと諦めかけた。
しかし、野球界での輝かしい活躍を見るにつけ彼はどうしても安西と個人的に付き合いたいと思うようになっていった。
必要は発明の母というが、漣は一つの賭けをした。
普通ならとても考え付かないような策を実行した。
そして、それは思いも寄らぬ好結果を生み出し彼は安西と関われる間柄になった。
去年のシーズンオフから、今年のオフにかけてプライベートな時間の多くをこの若者と過ごすようになった。もう漣は彼の映画界入りなどどうでもよくなっているのに気づいていた。
たとえどのような形であれ、彼がスターとして輝く姿を見てそして自分の側に少しでもいてくれれば一。
それだけで充分だと思う自分がいることに一。
つづく一

この物語はフィクションです。