試合開始時間が近づいたので、漣は控え室を出た。
関係者オンリーの通用路を歩いていると、キラリと光る物が目に入った。
通路脇にロケット式のペンダントが落ちていた。
落とし物かと漣はそれを拾いあげ、身元が判るかも知れないと思い中身を開けてみた。
それは、モノクロームの家族写真だった。
きりっとした逞しい夫と非常に美しい顔立ちの妻、二人の良いところばかりを取ったような可憐な少女一。
思わず見惚れてしまうような美しい写真だった。
彼は、ペンダントを内ポケットにしまい後で球団関係者に落とし物として届けようと思った。そしてそのまま歩いていると、反対側からクワイヤーズのユニホーム姿で無帽の若者が駆けてきた。
漣は、息をのんだ。
彼が望んでやまなかったもう1人の男優の理想像が忽然と姿を現したからだ。若者は、立ち止まると漣には目もくれず必死になって何かを捜し始めた。
漣はハッと気づいてペンダントを取り出した。『君、これを捜しているのか』『あっ!』
若者は声をあげると、ひったくるようにしてペンダントを受け取った。
『す、すいません。
拾ってくださってありがとうございます。
あの、僕急いでいるもので一』若者はあわただしく一礼をすると元来た道へ駆けて行った。
ひどく青ざめて今にも泣き出しそうな表情だった。
(彼が安西貴之なのか一)
漣の心に若者の姿が深く刻み込まれた。
つづく一
この物語はフィクションです。
関係者オンリーの通用路を歩いていると、キラリと光る物が目に入った。
通路脇にロケット式のペンダントが落ちていた。
落とし物かと漣はそれを拾いあげ、身元が判るかも知れないと思い中身を開けてみた。
それは、モノクロームの家族写真だった。
きりっとした逞しい夫と非常に美しい顔立ちの妻、二人の良いところばかりを取ったような可憐な少女一。
思わず見惚れてしまうような美しい写真だった。
彼は、ペンダントを内ポケットにしまい後で球団関係者に落とし物として届けようと思った。そしてそのまま歩いていると、反対側からクワイヤーズのユニホーム姿で無帽の若者が駆けてきた。
漣は、息をのんだ。
彼が望んでやまなかったもう1人の男優の理想像が忽然と姿を現したからだ。若者は、立ち止まると漣には目もくれず必死になって何かを捜し始めた。
漣はハッと気づいてペンダントを取り出した。『君、これを捜しているのか』『あっ!』
若者は声をあげると、ひったくるようにしてペンダントを受け取った。
『す、すいません。
拾ってくださってありがとうございます。
あの、僕急いでいるもので一』若者はあわただしく一礼をすると元来た道へ駆けて行った。
ひどく青ざめて今にも泣き出しそうな表情だった。
(彼が安西貴之なのか一)
漣の心に若者の姿が深く刻み込まれた。
つづく一
この物語はフィクションです。